いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「謎、買い取ります。 質屋「六文屋」の訳アリな訪問客」吉川美樹(メディアワークス文庫)

質屋「六文屋」の訳アリな訪問客―謎、買い取ります。 (メディアワークス文庫)
質屋「六文屋」の訳アリな訪問客―謎、買い取ります。 (メディアワークス文庫)

紅茶の香り漂う老舗質店「六文屋」を訪れるのは、なぜだか訳アリなお客さんばかり。
悩める人々を迎え入れる店主・片倉十士は、質入れ品に隠された微かな意図“サイン”を発見するのが趣味なのです。普段は訪問客に紅茶を振る舞う店員の少女に振り回されてばかりなのですが……。
店主の華麗な目利きと少女のテキトー推理で、質入れ品の甘くほろ苦い過去に迫る──。
「結婚するか別れるかの瀬戸際彼氏にもらったポストカード」
「天国の妻が残した黄色い浴衣」
「海外に逃亡してしまった憧れの先輩に渡された一圓銀貨」
──そこに潜む謎、買い取ります。


訳ありの人が集まりやすい質屋というチョイスは良かった。他には良いところがなかった。




以下酷評


とにかく会話が馬鹿っぽい。何も考えずに読める娯楽小説ならいいが日常ミステリでは致命的。
当たり前のことをドヤ顔で説明する店主に言動が小学生としか思えない女店員。客そっちのけで痴話喧嘩を始める二人を笑う客。何故笑える? 質屋に来るような切羽詰まった人相手にこの接客態度ならキレて当然だと思う自分の常識は間違っているんだろうか?
でも、そこまでは各話の序盤のテンプレなのでやり過ごせる。その先の客(とその関係者)がもっとダメ。
喧嘩中に暗号メールごり押しする彼氏、会って二日目の人間に犯罪歴を話す怪盗……そんなんいるか! ここまで来るとキャラクターの思考回路は理解不能。ストーリーを無理やり進める為に感情や常識を無視しているようにしか読み取れない。
なんとか読めるのは2章だけ。他はストレスが溜まる。
最近よく見るタイプのタイトルと可愛い表紙、流行りの日常ミステリというジャンル。手に取りやすいのは間違いないけど、中身が伴っていなければ逆にマイナスポイントにしかならないな。地雷的な意味で。