いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「オレと彼女の絶対領域7」鷹山誠一(HJ文庫)

オレと彼女の絶対領域<パンドラボックス> 7 (HJ文庫)
オレと彼女の絶対領域<パンドラボックス> 7 (HJ文庫)

ついにカーくんへの告白を決意した明日香。だが、落ち着かない明日香のもとに不敵に笑う薫が現れる。薫の携帯に写し出されたのは、椅子に縛りつけられたカーくんの姿! 薫は自分が「監視者」であり、彼を救いたければ全世界中の人々を《オーバーライン》にして絶望の種をばらまくように明日香に要求するが……。悩める明日香が出した結論とは!?


最終巻。
望んだハッピーエンドだったし、これまでの出来事や伏線をきちんと回収した綺麗にまとまった終わり方でもあった。でも、そのまとめるのが主題になってしまったような「一生懸命に辻褄を合わせて説明しました」って印象が強い。
それにラスボス・薫が悪目立ちし過ぎた感も。
薫の狂気と、すべてが彼女の掌の上で進んでいる焦燥感は確かにインパクトがあったけど、最後がこれでいいのかと。ヒーローとヒロイン達の立場が逆になった救出劇は完全な尻すぼみで終わり、最も盛り上がるべき最終巻のエピローグ前が恐ろしく静か。
主人公の滅茶苦茶だけどカッコいいと思わせる突破力と、ヒロイン達の可愛らしさが良いシリーズだったのに、それがどちらも味わえないのでは、ヒールを演じた薫が気の毒だ。
好きなシリーズだっただけに、この終わり方はいくら綺麗にまとまっていても納得がいかない面が多い。