いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「甘城ブリリアントパーク1」賀東招二(富士見ファンタジア文庫)

甘城ブリリアントパーク 1 (富士見ファンタジア文庫)
甘城ブリリアントパーク1 (角川ファンタジア文庫)

「唐突だけど……可児江くん。わたしと遊園地に行かない?」
謎の美少女転校生・千斗いすずが、可児江西也を放課後の教室でデートに誘ってきた。転校初日から校内で噂になるほどの女の子に誘われるというのは、悪くない構図だ。ただし――、こめかみにマスケット銃を突きつけられていなければ、の話だが。
しぶしぶ承知して向かった先は「甘城ブリリアントパーク」。ダメなデートスポットの代名詞として名高い遊園地だ。そこで西也はラティファという“本物”のお姫様に引き合わされる。
彼女曰く「あなたにこの『甘城ブリリアントパーク』の支配人になって欲しいのです」……って、なんで俺が!?


フルメタの賀東先生2年半ぶりの新作は寂れた遊園地の立て直し……だと思うよね、このあらすじなら。
中身もメインヒロインはいきなりラッキースケベイベントをこなす表紙の銃の子か、はたまた庇護欲をそそる姫様かという正しくラブコメ展開だったのよね、初めのうちは。
そんなの全部おまけじゃん! 本題のはずの遊園地の集客はやっつけ感が酷いし、ラブ成分は姫様がほんのちょっと出してるだけだし。
「おっさんたちの居酒屋トークを読む」という世にも珍しいライトノベルだ、これ。
仕事の愚痴や不景気の世知辛いトーク、品の無い下ネタ全開のセクハラトーク。時々ミリタリネタが顔を出すのはご愛嬌。それを見た目が愛くるしい遊園地のマスコットキャラクターがやっている性質が悪い(誉め言葉)。219ページの挿絵にこの作品の全てとまでは言わないが80%くらいは集約されている。
「中の人などいない」を実現させて面白おかしく捏ね繰りまわそうとしたら変な方向に行っちゃったんですね、わかります。これは居酒屋で一杯やりながらプロット作ったなw
シュールで面白かったが、これでいいのか賀東&富士見書房とも思うヘンテコな作品だった。