いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「マグダラで眠れ III」支倉凍砂(電撃文庫)

マグダラで眠れ (3) (電撃文庫)
マグダラで眠れ (3) (電撃文庫)

ついにカザンの町への入植を許されたクースラたち。鍛冶屋組合の少女イリーネと共に、グルベッティの町を出る準備を始める。
しかしその最中、ウェランドが“錬金術師ではない”という疑いを掛けられ、入植団に加われない危機に陥ってしまう。最初は放っておこうとしたクースラだったが、「仲間を大事にしたい」というフェネシスの熱意に打たれ、ウェランドを助け出す決心をする。そして、“自分たちが錬金術師であること”を証明する方法を探り始めるのだが、これがなかなか難題で――?
眠らない錬金術師と白い修道女が贈る本格ファンタジー、シリーズ第3弾!


さあ、今回は新天地へ……って、まだかいな。
そんなわけで第3巻は、出発前のごたごた(中編)+カザンへの旅路(短編)の二本立てのような構成。
そしてその実態は「クースラ君、ウルちゃんと喧嘩するの巻」。
プライドが高く元々自分が悪いと思っていないクースラは言わずもがな、予想以上にガンコだったフェネシスも折れずで、双方意地の張り合いみたいな状態に。その様子がなんだか子供っぽくて喧嘩なのにハラハラ感はあまりなく、どこか微笑ましい。前回はイチャイチャでその次が喧嘩なんて、あまりに仲が良くてニマニマしてしまいますな。
しかし、その結果二人の会話が少なくなるのも必然で、これはこれで物足りないなと思いつつ読み進めたら……最後にこのどんでん返しか! クースラと一緒にフェネシスに完全に一本取られた。これは痛快。
ちなみに、新加入のイリーネが自然に溶け込んでいてビックリ。ともあれ、いくらクースラにからかわれても逃げ場が何も言わないウェランドのところだけだったフェネシスに、助言も貰える逃げ場が出来たことは良いことだ。クースラがやり難くなるからね。
さて、衝撃のラストで道が塞がってしまったが、彼らの明日はどっちだ?