いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「スクールライブ・オンライン」木野裕喜(このライトノベルがすごい!文庫)

スクールライブ・オンライン (このライトノベルがすごい! 文庫)
スクールライブ・オンライン (このライトノベルがすごい! 文庫)

MMORPG《3R》――「楽しみながら学ぶ」を目標に授業にオンラインゲームを取り入れ、大きな成果を上げた私立栄臨学園。だがその結果、今日では生徒たちの間に「レベルこそがすべて」という風潮が広がっていた。新藤零央はそんな現状に疑問を抱き、ひとり孤独なプレイを続けていたが、ある日の大型アップデートを境に、彼の学園生活は大きく変わり始める――。リアルとゲームが交錯する、新感覚学園×オンラインゲーム小説、始動!

MMORPG小説+学園ラブコメ
学業の成績がゲームのレベルに影響するという発想は某バカ小説に似ているが、RPGを学生のモチベーションアップに結びつけて授業でも率先してやるというくっ付け方は斬新。
序盤は少々複雑なシステムの説明が多かったり、主人公・零央がヘタレているのでなかなかページが進まないが、あるアップデートで零央の立場が一変する頃になると、真面目にMMORPGをし始め主人公もまともに会話し始めるので段々と面白くなっていく。
と言っても、MMORPG小説としては非常にオーソドックスな内容なので目立つのは会話の方。
その一端が主人公・零央。卑屈でヘタレかと思いきや、一皮むけたら若干中二病を残したピュアな高二が出てきた。恥ずかしい台詞を躊躇なく言えるMMORPGの主人公に不可欠な中二要素に、羞恥心と擦れてなさが絶妙のバランスで乗っていて大変弄りがいのあるキャラになっている。
そして、その零央を弄るのが瀧智早という下ネタどんと来いの女先輩。彼女の零央への嫌味の無い弄りとマシンガントークで、中盤以降はコメディ的な楽しさが満載。それに彼女が出てくるだけでテンポが良くなって作品自体をグイグイ引っ張って行ってる気さえする。
幼馴染みと小動物系の二人のヒロインには申し訳ないが、この二人の掛け合いこそがこの作品の肝だと思う。
さて次は……もう水着回かよ!(喜
新設ギルドの行く末も気になるが、今回はあまり語られなかった学園や寮での生活にも興味がある。それに零央がちょっとだけ疑っただけで忘れ去られたアップデートの真意も気になるところ。




挿絵にあまりこだわりはないのだが、流石にこのレベルだと一言申したい。
モンスターの絵がやる気なさすぎだろう。11ページのドラゴンの脱力感と本文との乖離具合が泣けてくる。買う前にペラペラめくってこの絵が目に飛び込んできたらそっと棚に戻したくなるレベル。
各章扉絵のドット絵は秀逸なのにどうしてこうなった。