いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「はたらく魔王さま!9」和ヶ原聡司(電撃文庫)

はたらく魔王さま! (9) (電撃文庫)
はたらく魔王さま! (9) (電撃文庫)

実家に帰省したまま戻ってこない恵美と、ガブリエルに攫われた芦屋を救うため、異世界エンテ・イスラへ向かうことを決めた魔王たち。必死でバイトのシフトをやりくりする魔王を尻目に、着々と準備を進める鈴乃。ホームセンターで何を持って行くかについて喧嘩したりしながらも、二人はエンテ・イスラを目指してゲートに飛び込む。
 一方、エンテ・イスラへと帰省した恵美がオルバの手に落ちた理由とは何だったのか? アラス・ラムスと共に生まれ故郷の村へと向かった恵美は、食事にトイレ、その他たくさんの日常的な困難を乗り越えながらも実家にたどり着く。そして、父ノルドの残した膨大な記録の中からある秘密に気が付く。それは世界の成り立ちに迫るものだった。そのとき、オルバ率いる天使たちが現れて……?
 魔王たちは恵美と再会できるのか!? 異世界でも相変わらずの庶民派ファンタジー、今回はファンタジー成分多めでお届けです!


前回がこてんぱにやられる回なら、今回は反撃の為の準備回。今は我慢の時か。
準備回らしくエミリアと魔王の過去や魔王の真意が語られたり悪魔の秘密が仄めかされたりと、ストーリーの進展はないが、今後を盛り上げてくれるであろう大切なエピソードが満載で興味深い巻だった。ちょっと短編集に近いノリ。
そんな中で存在感を示していたのがちーちゃん。これが大天使の慧眼か、恋する乙女は強ってレベルじゃないね。そりゃあ、天祢さんが感心して鈴乃が信奉者になるわ。まあ、次から出番激減だろうからここで頑張って貰わないとね。
さて、シリーズの売りといえば「溢れる生活感」。
それがストーリーが進行してファンタジー色の強い話になるにつれて薄れていくのは仕方がないと思っていたのだけど、まさか異世界に行くことで日本の影が濃くるとは。
1/3はエミリア視点で、途中から魔王と鈴乃もエンテ・イスラに行ってしまう半分は日本での話ではなかったのだが、それでも端々から生活感が出てしまうのが流石は庶民派魔王さま御一行。
なんで異世界行く準備がキャンプの買い物になってるの? 言い争いの内容が救出内容の欠片もなくて緊張感はどこへやら。すでに行ってるエミリアもレトルト食材食ってるし、文明の利器に頼りまくり(LED型ライトと虫よけスプレーの存在感が異常w) 
ダメだ、この魔王と勇者と聖職者。日本に毒され過ぎw これは問題が全部解決しても、もうエンテ・イスラには帰れないんじゃないか? ちーちゃん歓喜エンドか?
なんて変な心配をさせられつつ、次回救出劇。