いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「絶対城先輩の妖怪学講座 二」峰守ひろかず(メディアワークス文庫)

絶対城先輩の妖怪学講座 二 (メディアワークス文庫)
絶対城先輩の妖怪学講座 二 (メディアワークス文庫)

東勢大学文学部四号館四階、四十四番資料室の妖怪博士・絶対城阿頼耶の元には、今日も怪奇現象の相談者が訪れる。
長身色白、端正な顔立ちながら、傍若無人で黒の羽織をマントのように被る絶対城。そんな彼の元に持ち込まれる怪異は、資料室の文献による知識と、怪異に対する時のみ発揮される巧みな弁舌でただちに解決へと導かれる。
夏休みに入ったある日、絶対城と助手(?)の礼音は織口准教授の誘いで、とある田舎の集落を訪れる。そこで二人は古四十四番資料室の怪人が紐解く伝奇ミステリ第2弾。

事件はオカルト解決方法は詐欺、しかも二巻では事件解決要素が薄れたというのにまだミステリと銘打つか。編集無能(確信



二巻も全くブレずに趣味の本でした。
妖怪薀蓄を思う存分に語らせつつ、そこに少しの創作を織り交ぜて一つの物語にする手法が非常に上手い。それにキャラクターの調子の良さが相まって、解説・考察が多いのにサクサク読める。
時折、作者は間違いなく楽しんで書いてるんだろうなという作品に出くわすが、これはまさにそれ。そういう作品は読んでいても楽しい。
そして今回は少々の恋愛要素も。
恋愛関係には初心な礼音のキャラ通りの反応はさて置き、その方面に全く興味がなさそうな絶対城の予想外の反応がやけに可愛く映る。やっぱりギャップって大事だわ。
その二人を意図してか天然なのか、結果として引っ掻き回していたもう一人のメンバー・杵松さん。一章でデビュー作を懐古されたせいもあるのか、彼が某天狗にしか見えなくなってきたんだが。彼もまた本物か? 補章のやり取りから絶対城のトラウマ=ラスボスのような気も若干するが、果たして。
一巻よりもさらに峰守作品だった。このテイストが好き。3巻も出るようなので楽しみ。