いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「月花の歌姫と魔技の王 IV」翅田大介(HJ文庫)

月花の歌姫と魔技の王IV (HJ文庫)
月花の歌姫と魔技の王IV (HJ文庫)

「月花の歌姫」として大舞台に立つことになったルーナリア。その美しさと歌声は人々を魅了し、ライルに涙を流させるが、人と幻想種との戦争を止めることは出来なかった。舞台の幕開けはそのまま惨劇の幕開けとなり、戦いの火蓋が切られる。その中で下されるライルの大きな決断、そして運命に翻弄されるヒロイン達が選択する、それぞれの道とは?


怒涛の急展開を見せる4巻。
人間と幻想種が一触即発の重苦しい空気の中、いつ始まるのか少々焦らされながら読み進めたら、始まった途端予想以上の急転直下。きっかけがまさかなら、その後の展開もまさか。しばし呆然。これはやられた。
ヤる時はヤる作者だとは認識していたが、このタイミングでこんなに徹底的にというのは予想の遥か上だ。
しかし、そうやってどん底まで沈めて、とことん悪役の嫌な面を見せつけてくれた後の、大逆転劇には「痛快」以外の言葉がない。復活劇も逆転劇もネタバレすぎて概要は言えないが、とにかく予想を超えられるものほど面白いことはない。
また、このシリーズ最大の魅力、強い女性たちの活躍も忘れられない。
どん底の時には流石のマリーアもルーナリアも凹んでいたが、そこからの復活の仕方、復活してからの行動力で、彼女たちの強さを再認識。マリーアの場を華やかにする明るさと、ルーナリアの芯の強さのどちらにも勇気を貰えた気がする。
手に汗握り呼吸数が少なくなる、それだけの引き込み力がこの巻にはあった。凄く面白かった。
ただ、終わり方が……ね。
Part.1 closedの言葉を信じていいんですよね? 第二部ありますよね?
HJでは断トツ、現行のライトノベルのファンタジーの中でも有数の面白さを誇る作品がここで終わるのは勿体なさすぎる!