いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「きゃめろっと! 〜猛剣使いと従剣王女〜」小椋正雪(一迅社文庫)

きゃめろっと!~猛剣使いと従剣王女~ (一迅社文庫)
きゃめろっと!~猛剣使いと従剣王女~ (一迅社文庫)

騎士だけが学ぶことを許された武道――『騎士道』。
日本の高校生・羽田晴人はその騎士道を修めた本物の騎士である。だが修行のことしか頭にない彼は道場が閑古鳥でも何処吹く風で、幼なじみの沢城ゆかりには呆れられる毎日を過ごしていた。そんな折、異国の少女ナーナリアが訪ねてくる。彼女は晴人が仕える国の王女であったが、何故か勝負を挑んできて――。
騎士道ラブコメ、颯爽登場!

↑表紙裏のあらすじ(主人公の一人称)は、本編中の主人公と口調が違いかなり違和感があったので、公式HPのあらすじを採用。



デビュー作(たぶん)「八丈島と、魔女の夏」が大変雰囲気が良い作品だったので作者買い
ノベライズの仕事が多い作家さんのようで、読むのはその作品以来一年半ぶり。


話は、武道(騎士道)を嗜む小国の王女様が、かつての師匠に代わってその孫に免許皆伝してもらうべく彼の道場に押しかける物語。
キャラクターは良かった。
どのキャラも明るくノリが良く、人の好さが滲み出ていて作品の雰囲気はとてもいい。また、金髪ツインテの姫さまなのに素直な良い娘だったり、実力断トツな主人公なのに俺TUEEEしなかったりと、お約束を外したキャラ作りが面白い。
ただ、そのキャラクターにストーリーが、いや設定が全然合っていなかった。
正々堂々と戦う姿勢と言葉はあるのに……使ってるのが暗器ってどうなの?(^^; 最後も決着がハプニングなのに納得してる王女にも、何かを伝えた気になっている主人公にも違和感が。そもそもこれじゃ盛り上がらないよ。
このキャラクター達の気質で戦わせるんだったら単純な勧善懲悪の話にした方が良かったような。
一応続けられる終わり方にはなっているけど、これとは別の柔かい作風と情景描写の上手さが生かせる物語を書いてほしいなあ。