いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「グラウスタンディア皇国物語2」内堀優一(HJ文庫)

グラウスタンディア皇国物語2 (HJ文庫)
グラウスタンディア皇国物語2 (HJ文庫)

海賊に扮して罠を張っていた四千のリジア海軍を相手に、少数の軍勢で勝利を収めた《皇国七聖》の軍師クロム。その際に得た800名余りの捕虜を交渉材料とし、クロムは皇女ユースティナのお付きとして開戦の緊張高まるリジアとの会談に臨むことに。しかし会談の直前、クロムは皇太子ダカットから急遽、不可能とも思える敵情視察を命じられてしまい!?


なんだなんだ。突然癒しキャラが増えたぞ。忠犬モフモフわんことはあざとい。
もう一人の癒しキャラは恋する乙女・ユースティナ姫。今回は各シーンに弄り役がいてくれたおかげで微笑ましいシーン多し。
なんて、所々で息抜きをしてくれるが、本編はがっつりシリアス。
グラウスタンディア皇国とリジア宗旨国家の開戦から本格的な衝突の手前まで。
要するに準備と前哨戦で、ぶっちゃけてしまうとかなり地味。でも戦記ものが好きな人にとっては願ったりかなったりの展開。
1巻はキャラクター紹介の側面もあったのか個人が派手に戦闘をしていたので、もう少しファンタジー色の濃い個の力が幅を利かせる話を予想していたのだが、どうやら割と真面目に戦記をしそうな気配。
今回の前哨戦も人海戦術を旨とするリジア軍に対して、少数精鋭の奇策で対抗する主人公・クロムの活躍がいくつか読めて面白い。ただクロムが優秀すぎて、みんなでクロム依存症になっているのがちょっと気になるが。
また、戦争を始めた二国のどちらにも有力者の対立があったり、断章で二国以外の国の内情も描かれているため、この戦争が今後どう転ぶか分からない、先を読ませない伏線の張り方に期待が膨らむ。
今回の話自体は静かだったが、ワクワクさせてくれるものがいくつもあった。本格的な開戦となる次からが楽しみ。