いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。10」左京潤(富士見ファンタジア文庫)

勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。 (10) (富士見ファンタジア文庫)
勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。 (10) (富士見ファンタジア文庫)

勇者試験直前に魔王が倒されてしまい、勇者になれなかった少年ラウル、父親である魔王が倒されて居場所が無くなった魔王の娘フィノ、ラウルの勇者予備校時代のライバル・アイリの三人は、王都にあるマジックショップで一緒に働いていた。
ずっと帰れなかった故郷に、フィノたちと里帰りすることになったラウル。久しぶりの故郷は、ラウル像ができていたり、ラウル・チェイサー記念館がてきていたりと、ラウルは村の英雄になっていて――。さらには「まさかお嫁さんまで連れてくるとは……」って……!?
勇者と魔王の卵が織りなすハイテンション労働コメディ!!

最終巻はその後のエピソードも含めた短編集。やっぱり本編は9巻で終わりだったのね。



う〜ん、最後まで普通のコメディはイマイチだったなあ。
なんで短編になるとテンプレコメディばっかりで、社会人あるあるネタやらなくなってしまうだろうか? そこがこのシリーズの面白いところなのに。らしさが出てたのは「魔王の娘さんが万引き犯にお怒りのようです。」くらい。
特に2つあるボーナストラックの章では記憶にない後輩二人(アニメオリジナルキャラ?)が何の説明もなく居て「誰?」となったり、血と臓物が大好きなはずのフィノが返り血にビビるなどキャラクターがぶれていたりと、出来が悪い。恐らく円盤のおまけなんだろうけど、文庫に載せるなら加筆・修正しようよ。
シリーズ序盤はファンタジー作品とは思えない世知辛さが面白く、働くことの大変さと大切さを時にコミカルに時にシリアスに書き分ける、良い作品だったのだけど……。そのオリジナル色が巻を重ねるごとに薄れていって、段々とだれてしまった残念なシリーズ。