いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「きんいろカルテット! (3) 」遊歩新夢(オーバーラップ文庫)

きんいろカルテット! 3 (オーバーラップ文庫)
きんいろカルテット! 3 (オーバーラップ文庫)

新たに加わったミシェルとの和解やライバルとなるリチャードとのソロ交換会を経て、菜珠沙たちはいよいよ国際アンサンブルコンペのための最終調整に入っていく。そんな折、英司の足を引っ張るような匿名の投書があり、少女たちの指導から一時的に離れることになってしまう。
英司の抜けた穴を埋めようとする少女たちだったが、無理がたたってしまい吹奏楽部の由真が右手を怪我してしまう。彼女たちが途方に暮れているなか、戻ってきた英司はバンドのために自らができることを考え始める。
黄金色の音色が、大舞台で響き渡る。青春音楽ストーリー、第三弾!


リチャードとの前哨戦を終えて、ついに国際コンペに向けて全力投球!
……と思いきや、英司を快く思わない何者かの策略によってロリコン疑惑が勃発。
ロウきゅーぶ!』でネタにして笑っていることを、そういった所に遊び要素のない本作でやると問題が一気にヘビーになる。やっぱ『ロウきゅーぶ!』ってファンタジーだわw
それはさておき、まさかの英司不在の中で存在感を示したのが三年生の亜衣。2巻でも目立ってなかったし、正直数合わせだと思ってた。ごめんよ。
でもこうして全員のエピソードを掘り下げてくれるから、バンドはみんなが主役だという事を再認識できるし、演奏の時にもみんなに感情移入できるのが良いところ。作りが丁寧だ。
但し、もう一人の三年生、2巻で株爆上げだった由真さんの扱いはちょっと可哀想だったけど。エピローグもアレだし、最後の最後まで不遇な子だったなあ……。
迎えた国際コンペは、
世界を感じることで、短い間でも音楽家として成長する少女たちの姿と、否応なく察してしまう英司との別れによって女の子としての苦悩と成長が見える、演奏前。少女たちの緊張感と高揚感が余すところなく伝わってくる、臨場感たっぷりの演奏シーン。どちらも文句なし。夢中で読んだ。
エピローグはいくらなんでもという気もするが、第二部をやるには人を集めておかないとね。
音楽への真摯な姿勢がダイレクトに伝わってくる、素晴らしい青春小説だった。第二部待ってます!