いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「甘城ブリリアントパーク5」賀東招二(富士見ファンタジア文庫)

甘城ブリリアントパーク (5) (富士見ファンタジア文庫)
甘城ブリリアントパーク (5) (富士見ファンタジア文庫)

高校生なのに遊園地の支配人代行・可児江西也は悩んでいた。
アトラクションの改装で集客が伸びてきたまではよかったが、もう一押し目玉となる企画が欲しい。何かないかと考えていると、ファンサービスのつもりで作った中城椎菜が歌ったCDがコアファンにバカ売れしているとの情報が入ったのだった。
……これしかない!アイドルをプロデュースするのだ!そうして、甘ブリ初のアイドル(?)ユニット、『タスクフォースABC』が誕生することに! しかし、アイドル業界はライバルが多く、それを生業とする猛者が集う魑魅網魎の世界。
果たして、甘ブリを救うべく西也の奇策は成功するのか―!?

あらすじ間違ってないけどなんか違うw



「パークの存続問題?何それ美味しいの?」と言わんばかりにキャラクターの掘り下げに勤しむ5巻。
まずはマカロンと映子を主役にしたダメ親父の話。
が、今回一番尺を取ったメインの話だったのだが、その後の短編の一つ『リアリティ・バイツ』のインパクトが強くて、全てを持っていった。
社会人としての、プロとしての理想の現実の乖離。利益と感情という全く別種のものの折り合いを付けなければならない難しさや憤りを、不登校の少年とリンクさせて現実の厳しさをより強調して描く短編。うつむいたモッフルの挿絵で締めたり、瀬野家へのフォローが一切入らなかったりと、どこまでもリアルで読んでいて辛くなる。これをライトノベルで、夢を売る遊園地の話でやりますか。いや、いいものを読んだ。
カロンにしても映子の父にしても聞く耳を持っている時点で既にぬるかったメインの話とはえらい違い。あの二人、全然ダメじゃないだもの。まあ、マカロン親子のハートフルなシーンは良かったけどさ。
あとがきによるとパークの存続問題は忘れたわけではないようなのでw、次こそ話が進むかな?