いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔弾の王と戦姫10」川口士(MF文庫J)

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉10 (MF文庫J)
魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉10 (MF文庫J)

エリザヴェータの力を借りバーバー=ヤガーを退けた“ウルス”ことティグルだったが、その矢先に魔物の力で見知らぬ森の中に飛ばされ、ムオジネル人ダーマードと出会う。ティグルの消息を探るダーマードに剣を突きつけられ、ティグルは絶体絶命の危機に。一方、エレンの命令を受けたリム、マスハスとティッタの三人はついにルヴーシュの公都にたどり着いた。同じく公都に帰還したエリザヴェータは、あらためてバーバ=ヤガーと戦うことを決意する。さらにガヌロンが暗躍し、ブリューヌとジスタートに新たな動乱の火種を撒く。混沌が加速して世界が人知の及ばない狂気を帯びていく中、時代が、英雄の復活を待ち望んでいる――大人気美少女ファンタジー戦記、第10弾!


やっとやーっとティグルが帰ってきた!
と思ったら第二部が終わってしまった。……いいタイミングではあるか。
第二部の締めくくりというよりは第三部に向けての布石の方が比重が多かったような。
その中でも一番気になるのが、やっと本編に出てきた「魔弾の王」という言葉。魔物たちもさかんに気に掛ける「弓」の秘密が第三部のメインテーマかな? ついに物語の核心に近づいてきた感じがする。
そんな最後にしては落ち着い話だったが、対バーバ=ヤガー戦は第二部最後に相応しい盛り上がり。
魔物と呼ばれる者たちの脅威の戦力に戦姫二人が苦戦しているところで真打復活。タイミングはベタだけど実にティグルらしい復活の仕方に、エレンの心境と一緒に気持ちが高揚する。
その反面、「戦姫」に焦点を当てる第二部のトリであるエリザヴェータはキャラクターの掘り下げが十分だっただけに、ウルスを失う彼女の悲しさ・淋しさも一緒に味わうことに。
と、悲喜交々なここで終われば綺麗だったのだが、何故か最後に一戦あるのよね。
一番の敵が魔物と定まった今、ここまで来たら戦記にこだわる必要はないと思うけど。最後にヴァレンティナの名前を出す為としても別に戦わなくても……申し訳程度の戦記要素の為に首が飛んだ伯爵に合掌。
ともあれ、引っ張ってきた英雄復活が最高の形で読めて満足。第三部が待ち遠しい。