いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (10)」渡航(ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10 (ガガガ文庫)
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10 (ガガガ文庫 わ 3-16)

冬休み。のんびりとした年の瀬、そして年明け。合格祈願の初詣や買い物など、予定外の外出が重なる八幡が新年の街で出会ったのは、雪ノ下陽乃葉山隼人、そして……。共に過ごしてきた時間で、お互いのことを少しは知ったように思えた。でも知らないことの方がたくさんあるのだろう。今も、そしてこれからも――。2年生という学年ももうあとわずか。今を大切にしたいと思えば思うほど臆病になって、考えているのに答えは見つからないし、走っているのにゴールが見えない。彼ら彼女らの、新たなる季節、新たなる関係。


年末年始から新学期へ。文理選択が巻き起こす一騒動で、葉山を中心に据えたお話。
もしや表紙のおっかないお美しいお姉さんがメインじゃないかと戦々恐々としていたが、いつものかき回し役だったようでよかった……のか? 
元々葉山回ではありながら、雪乃の過去に関係が深い葉山のプライベートを明かしつつ、雪乃の問題への伏線を張っていった話だった。そこで最後に陽乃さんが一言で持っていってしまった。
気に入らないって言うけど、八割くらいあなたのせいですからね。幼少期からこの姉に植え付けられてしまった劣等感はそうそう振り払えないという事か。その上にあの母(初登場)が居る家庭……なにその家怖い。重圧と息苦しさで胃潰瘍待ったなしじゃないですか。
それはそうと、雪乃のそれが信頼ではなく依存・逃げ道であるならば、八幡の言う本物を手に入れるためには一度壊さないといけないわけで。奉仕部の空気が凍る、いや今度は崩壊もありうる? とにかく、まーた胃のキリキリする展開が待っているのか。ガハマちゃんがオロオロする姿が目に浮かぶ。
と、ここ最近と比べると落ち着いていて目に見えた動きが無かったので、先のことばかり気になってしまった。戸塚が天使から大天使に昇格!とか、いろはちゃんうざかわいいなどのキャラクターを楽しんだり、定番の千葉ネタにフットワークの軽いアニメネタなどの即物的な面白さはもちろんあるので、退屈さは無いけれども。
そんな訳で表面上はそこそこ穏やか、でもまた荒れる気配がぷんぷんの10巻でありました。続きが怖い。