いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「変態王子と笑わない猫。9」さがら総(MF文庫J)

変態王子と笑わない猫。9 (MF文庫J)
変態王子と笑わない猫。9 (MF文庫J)

世界に誇るスーパー受験生鋼鉄さんが、試験の息抜きに所望したのはスケート大会! マイマイは悦びのよだれを垂れ流し、ぼくも筒隠と小豆梓のあいだで楽しいサンドイッチだ! こんな日々がもっと続けばいいのに――でも、悪の手先は、いつだってそういうときにやってくるんだ。「あの娘、もうじきに死ぬよ」
猫神の不吉で不快な予言を聞いて、ぼくはひとつの決断を下すことになる。傍らに寄り添ってくれる女の子がいて、離れていく女の子がいて、戦う女の子がいる。ぼくらはいったいどこに進むんだろう? 待ち受ける未来は、まだ誰にもわからない。
大人気爽やか系変態ラブコメ第9弾、「横寺死す」。――って死ぬの確定ですか! ?


元々、不思議成分が強めのラブコメではあるが、ここにきてまさかのループもの。まさかの完全シリアス。
自己犠牲精神の極まった少年と、それを断固として許さない少女の時をかける物語。このシリーズじゃなかったら、いや、文章がそれなりだったら絶賛していたかもしれない。
このシリーズ特有の小ネタの多い軽い地の文、悪く言うとおちゃらけた文章と、一人の少女の生死を巡る話の内容・雰囲気が合わない合わない。横寺がエロネタで脱線させる度に雑味にしか感じず、何度「いい加減にしろ」と思ったことか。何故か横寺に同調していたマイマイも(マイマイってここまで変態変態してたっけ?)
そもそも、始まった当初全盛だった「萌え」に特化したキャラ小説なのに、この空気ではそれが楽しめない。
自己犠牲男・横寺が前に進むには必要な話だったのは理解できるが、真面目にやるなら文章もそれなりにしてほしかった。どっち付かずの中途半端は好きじゃない。
次は明るい話になるそうなので、キャラ萌えは次に期待しよう。でも、これといったエピソードもなく身を引いた形になってしまっていた小豆梓の処遇が心配。