いつも月夜に本と酒

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「さて、異世界を攻略しようか。6」おかざき登(MF文庫J)

さて、異世界を攻略しようか。6 (MF文庫J)
さて、異世界を攻略しようか。6 (MF文庫J)

ゲームガルドと呼ばれる異世界に召喚され、『救世主』として迎えられた義弥と杏奈。次々にクエストを攻略し、ゲームガルドに貢献してきた義弥たち救世主パーティだが、学院祭の最中に発見された『始祖の言葉』により明かされた世界の真実―リセットボタンの存在によって状況は一変。ゲームガルドに存亡の危機が訪れる。そんな中、義弥と杏奈が現実世界に帰ってしまうかもしれない、と考えたシェリスとティーナが取った行動は、義弥の部屋に押しかけたり、みんなで仲良くラーメンを作ったり、メイド服を着たり、ランドセルを背負ったり……? それぞれの想いが交錯する学院祭も、いよいよ後半戦に突入!異世界のピンチでも、ばっちり日常ラブコメ第6幕!


異世界ゲームガルドの真実と、杏奈の両親の最期が明らかになった5巻のラストを受けてのスタート。
杏奈はその事実をあまり引きずらなかったものの、今後の方針に悩む義弥や一気に濃くなった現実世界の空気に敏感に反応するシェリスとティーナの行動などもあって、ちょっとシリアスめ。表向きは文化祭後半戦でも、物語が佳境に入っている緊張感が確かにあった。
そんな空気を一人和ませていたのが猫娘ネア。
元気のない杏奈をなんとか元気にしようと頑張る姿がそれはもう健気で愛らしい。4巻の登場以来、すっかり二人の娘役に収まって存在感を発揮している。それに比べてシェリスとティーナの不憫さが泣ける。ランドセルモドキを装備してもエセ幼女には勝ち目はなかったか……。
それと、定番の料理ネタはどんな状況でもいつも通り。
流石杏奈さん、仕込にも労力を惜しまない料理人の鑑。是非にもそのビーフシチューの御相伴に与りたい。
話としてはラスボスが判明して戦う準備を始めた段階で、いつにも増して戦闘のない静かな回だった。でもクライマックスに向けての布石は十分。条件を知れば知るほど勝ち目が薄くなっていっているので、これをどうやって打破していくかが楽しみ。未だ明かされない救世主の能力と光一郎の思惑(父派なのか祖父派なのか)が鍵かな。