いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア4」大森藤ノ(GA文庫)

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア4 (GA文庫)
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「聞いても、いい?」
「えっ?」
「どうして君は、そんなに早く、強くなっていけるの?」
「……何がなんでも、辿り着きたい場所があるから、だと思います」
「私も……」
──悲願(ねがい)がある。何がなんでも、辿り着かなければならない場所が、遥か先の高みにある。少女にも、少年にも。
ついに始まる『遠征』。未到達領域59階層への挑戦。少女は『未知』へと挑み、そして少年は──。
『──冒険を、しよう』
これは、もう一つの眷族の物語、
──【剣姫の神聖譚(ソード・オラトリア)】──

アイズが主役の外伝4巻は、前章:本編3巻のアイズ視点、後章:外伝のメインストーリー の二部構成。



ひざまくら。
あの特訓はこんな羨ましいことになっていたのか! 前章の八割は膝枕の印象しかない。もう特訓が主なのか膝枕が主なのか分からなくなってるアイズにニヤニヤすると共に、役得ベル君に嫉妬するレフィーヤの気持ちに共感せずにはいられない。しかし、リヴェリアのちょっとしたいたずら心がここまで発展するとはね。リヴェリア様GJ!
そんな前章ののんびりしたムードを一変させたのが、本編の中でも一二を争う熱いシーン、ベルvsミノタウロス。駆けつけたアイズやロキ・ファミリアのメンバーが自然と助けの手を止め、見守ることしか出来なくさせるベルの背中に万感の思いが込み上げる。やっぱり、いいシーンだ。
そして後章。
そのベルの雄姿に感化されたロキ・ファミリアの強者たちが未踏破領域59階層で猛る。
下層から階層をぶち抜くブレスを吐いてくる反則級な竜が前座になってしまうほど苛烈な『穢れた精霊』戦で、ロキ・ファミリアの古参三人衆がその力を見せつける。中でもフィンの仲間を焚き付ける言葉に、窮地を真っ先に打開していく行動に心が震える。【勇者】の二つ名は伊達じゃない。決着はもちろん外伝主人公だったが、その活躍を霞ませるほどのベテランの活躍が熱かった。
外伝第一部完と銘打たれているけど、これで『尖兵』なんて言ってるしレヴィスも前に出てこなかったから、あまり区切りがついた気はしない。でも戦闘の激しさは第一部のクライマックスに相応しい熱量だった。