いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「内気な美女には野獣を」永田ガラ(メディアワークス文庫)

内気な美女には野獣を (メディアワークス文庫)
内気な美女には野獣を (メディアワークス文庫)

如月そよ子。鳥辺市の市会議員を務める彼女は、その美しさゆえ「愛らしすぎる市議」として全国でも有名。しかし実は彼女、極度の人見知りで、いつもオドオドしている内気な性格。自分みたいな人間が市議をしていていいのだろうか?と悩む日々を送っていた。
そんな彼女のもとに、ある日、野獣のように威厳たっぷりの一人(?)のイケメン秘書がやってきた――。
仕事に自信をもてず、あと一歩を踏み出せないでいる貴女に贈る、前向き&元気になれるハートフルストーリー!


トラすげえ。
動物園の内情を絡めて自分たちの境遇とその対策を協議しだすトラたちの聡明さとシュールさが面白くて笑っていたら、突然人に化けて内気な女性議員(主人公)をビシバシ鍛え、裏では荒事有りのスパイ活動をしだす始末。お仕事小説だと思って読み始めたのでファンタジーな設定には驚いたが、その奇天烈で縦横無尽な活躍には胸躍る。
逆に主人公のその子には共感出来る要素が少ない。
内気というよりは夢見る夢子ちゃんで、その甘えた考えには苦笑しかでない。かと思ったら、内気(自称)から脱却するのも突然で、いきなり自己主張できる様になっている姿に「誰これ?」となった。この共感しずらいキャラクターでは、あらすじの「前向き&元気になれるハートフルストーリー」を感じるのはちょっと難しい。
そんな訳で、少々ファンタジー過ぎたのと主人公の変化が急だったので、お仕事小説としてはかなり微妙。でも、トラが活躍する現代ファンタジーとして読めばそこそこ楽しめる、、、と思う。