いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ひとつ海のパラスアテナ3」鳩見すた(電撃文庫)

ひとつ海のパラスアテナ (3) (電撃文庫)
ひとつ海のパラスアテナ (3) (電撃文庫)

ここは、見渡す限りの水平線。
たくさんの人間たちで賑わっていた、《セジング》は見あたらない。それは、海獣『カリブディス』によって水底へ沈没した。
絶望的な状況下でも、アキは“セジング”住民の生存を信じ、そしてオルカが失った《シャチのぬいぐるみ》を探し出す決意をする。アキに残された唯一の手段は、何の道具にも頼らず、自分の力だけで海の中へと身を投じる《潜水》による捜索だった。
――ボクは、必ず見つけ出す。
第21回電撃小説大賞“大賞”受賞作、シリーズ第三弾!

まるで成長していない………(AA略) アキも作者も。
60ページで一回投げて、気を取り直して読んだ中盤は面白かったけど最後はリアルに「何これ?」と呟いてしまった。




以下酷評


1巻から劣化の一途。
毎回死と隣り合わせのサバイバルをやらせるのはいい。正直要らないと思っているけど、毎回海賊に襲われるのもの百歩譲っていいとしよう。しかし毎回展開が一緒なのに、巻を重ねるごとにその状況に追い込まれる理由も、肝心の中身もどんどん雑になってるのが許せない。
特に理由が酷いのはサバイバルの方。アキが“わざわざピンチになりに行く”その様子は、はっきり言って学習能力ゼロのただの馬鹿。おかげで死にそうになっても自業自得としか思えなくなった。九死に一生を得ても感動なんてない。作中で盛んにアキの変化を強調していたが、1巻から(主におつむが)退化はしているが成長はしていない。成長しない主人公を読むのは面白くない。
中身が酷いのが海賊襲来。海賊に捕まったタカらの描写がおざなりだったのも気になったが、そんなのは些細な問題。その後の1,2巻の超展開が可愛く思えるくらいの力押しの解決に唖然とした。出てきた意味がほぼなかった海賊が気の毒。
住む場所を失った《セジング》の住人がたくましく次の住居を作り始める様子や、他の世界の存在が出てきたりする中盤にはワクワク感があった。でも、肝心の初めと終わりがこれまでの劣化コピーではその感動も台無し。
ワンパターンは悪いとは思わない。でもワンパターンなら段々と洗練されなければ意味がない。逆に悪くなっているならただの手抜きだ。
次巻は見送り。各所の感想を読んで大きく方向転換していない限りは切り。