いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「復讐ゲーム ―リアル人間将棋―」青葉優一(メディアワークス文庫)

復讐ゲーム ―リアル人間将棋― (メディアワークス文庫)
復讐ゲーム ―リアル人間将棋― (メディアワークス文庫)

将棋部に所属する南と後藤は、お互いの彼女を連れてダブルデートを重ねるなど、高校生活を謳歌していた。しかし、文化祭の準備で学校に泊まりこみとなった夜、恐るべき復讐劇に巻き込まれる。
リアル人間将棋――それが復讐のために用意された舞台だった。取られた駒は死ぬ、という仕掛けのもと、南と後藤は駒となった恋人を守るため死力を尽くして対局に臨む。
一手一手が生死を分ける、待ったなしの人間将棋の結末は? 戦慄のリアルゲーム×サスペンス・ストーリー!


うわー、えげつない。
デビュー作で草食系少年の爽やかな青春と圧倒的な緊張感の将棋の対局シーンを描いた作者の二作目は、まさかのダークサスペンス。
タイトルとは裏腹に前半半分は普通の高校生たちの日常で、ここからどう復讐ゲームに繋げるんだ?とかいつ始まるの?などとヤキモキしたのと、少々の拍子抜けも感じていたのだが、本番が始まったらそんなものは吹き飛んだ。
あらすじ通りに次から次へと人が死んでいく殺戮ゲームとなった将棋の残酷さだけでも「戦慄」の文字に相応しい内容なのに、そこに付随されているものもエグい。
人の醜い面をまざまざと見せつける死に際の描写や、前半の幸せな時間あったからこそ対比でより絶望のどん底へ突き落す展開、救いのないラストまで全く隙のない。
ドス黒い怨念がこもった対局シーンの迫力と何とも言えない後味の悪さ、ダークサスペンスとして読み応え十分な作品だった。


あの緊張感のある対局シーンを生かそうとしてこうなったのかな?
こと将棋に関しては前作の時点で十分な緊張感を出せていたのだからここまでしなくても、とも思う。まあ好みの問題だけど。