いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「行列のできる不思議な洋食店 〜土曜の夜はバケモノだらけ〜」秋目人(メディアワークス文庫)

行列のできる不思議な洋食店 ~土曜の夜はバケモノだらけ~ (メディアワークス文庫)
行列のできる不思議な洋食店 ~土曜の夜はバケモノだらけ~ (メディアワークス文庫)

ある土曜の夜。空腹を抱えた女子大生の山嶺結は、自宅近くの商店街にひっそりと建つ洋風家庭料理店『すずらん』の前に立っていた。
木製の扉には「会員専用時間帯です」と書かれたサインプレートがかかっている。
うしろからやってきた他の客と話すうち、なし崩し的に彼女は店に足を踏み入れる。
そこで結が目にしたのは、バケモノ――いわゆる怪物、幻獣、妖精などと言われる存在で満席の店内だった……。
愉快なバケモノと一緒に、美味しい料理を堪能しよう。

死神やユニコーンなどのオカルトな存在が通う料理店を舞台にした物語。
モノノケ限定なのが土曜だったり店が昔ながらの洋食店だったりどこかの作品と類似点は多いが、こちらは一人の気弱なぼっち少女の成長を追うのがメイン。
主人公の少女・結は、幼少期の友達に理由がわからず嫌われていたり、味覚障害があったりと他人より多くの問題を抱えた女子大生。その結が持ち前の人の良さでモノノケの味方を増やしていき、彼らに助けられながら問題を解決したり弱い自分を振り返ったりしながら、ちょっとの勇気を獲得していくというハートフルないい話。
……と、悪い話ではないのだけどイマイチピンとこなかった。
秋目さんの作品は好きなものが多くて今回も作者買いなのだけど、こんなに合わなかったのは久しぶり(『黒百合の園』以来二作目)。主人公が男の方がいいんだろうか? 前作は女の子だったけど男勝りな活発な少女だったし。
あともう一つ、丁寧な食べ物描写がされているのに全然食欲をそそられない。食べ物自体の描写は丁寧でも、食べた人の感動が薄いような気がする。そういえば前作もショコラ専門店が舞台なのに食べ物描写に関しては印象に残らなかったから、あんまり向いてないのかも。
女の子主人公の食べ物屋の話が続いたので、そろそろ男臭いのが欲しいです。