いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「レッドスワンの奏鳴」綾崎隼(アスキー・メディアワークス)

レッドスワンの奏鳴
レッドスワンの奏鳴

最高の舞台で、忘れられない闘いを。 日本で一番熱い冬が、今、始まる――!
高校サッカー界、最大の祭典。冬の全国高校サッカー選手権への出場を22年振りに決めた赤羽高等学校サッカー部『レッドスワン』。その初戦の相手は、二年連続で選手権を制覇している最強校・鹿児島青陽だった。選手層でも、経験値でも、下馬評でも、青陽はレッドスワンを圧倒している。しかし、絶対王者を前にしても、チームの覚悟と決意は微塵もぶれなかった。誰が敵であっても<知性>を武器に打ち倒す。レッドスワンはどんなチームよりも頭を使って、優勝だけを目指すのだ。
それは、誰にも忘れられない冬になる。レッドスワンサーガ、死闘と飛翔の最終幕!

舞台は冬の選手権。試合に次ぐ試合、合間にちょっと恋愛模様なレッドスワンサーガシリーズ第四弾。



燃えました。
これまでもレッドスワンの対戦相手は常に格上だったけれど、今回の相手はそれを大きく上回る昨年王者にインターハイ王者。なんてくじ運だよ!とツッコミたくなる相手との対戦とあっては燃えない訳はないのだが、その豪華な相手相応に中身が濃い。
試合前は、正々堂々・高校生らしくなんて糞食らえな世怜奈監督による勝つための戦術(マスコミ対応等の場外戦略含む)を選手たちと一緒にみっちり戦い込まれ、試合ではチームメイトたちの緊張や高揚、相手チーム選手の焦りなど、戦う選手たちの内面を丁寧に表現されているので、一緒に戦っているような気分になる。これまでの道程を読んできて、思い入れのある彼らだから尚更。ジャイアントキリングは現実でも熱狂と感動を呼ぶものだけど、フィクションとはいえそれを当事者の目線で追えるのは極上のエンターテイメントだ。
さて、この物語のもう一つのテーマ、幼少期から凍ったままの優雅の心の行方は……。
(以下思いっきりネタバレ)
まあ、そうだよね。華代は笑っていたけれど、大方予想通りな着地点。
だって超絶美人で、自分と同じものが好きで、それに自分以上に真摯に必死に向き合ている年上のお姉さんだよ。普通の思春期の少年なら当然イチコロ、恋すら知らなかった少年の心を動かしてもなんの不思議もない。
やっとのことで優雅の心が動いたことには感動したけれど、やっとみんなと同じ舞台に立てたところで終わってしまったのは心残りだ……と思ったら、セカンドシーズンの構想があるようで?
優雅たちが3年になったレッドスワンの戦いや一躍全国区になった伊織と楓の動向は気になるし、やっかいな片思いたちの行方も見守りたい。そして何より舞原世怜奈監督の指揮の下で躍動する高槻優雅を読みたい。
いつまででも待ってますので、セカンドシーズンお願いします!!



それにしても相関図が見事に一方通行でサッカーのフォーメーションみたいだw

        真−圭
  世−優<
         華−伊
  (←想いの方向)