いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「君と時計と塔の雨 第二幕」綾崎隼(講談社タイガ)

君と時計と塔の雨 第二幕 (講談社タイガ)
君と時計と塔の雨 第二幕 (講談社タイガ)

愛する人を救えなければ、強制的に過去に戻され、その度に親友や家族が一人ずつ消えていく。自らがタイムリーパーであることを自覚した綜士は、失敗が許されない過酷なルールの下、『時計部』の先輩・草薙千歳と、不思議な同級生・鈴鹿雛美と共に、理不尽なこの現象を止めるため奔走を始める。三人が辿り着いた哀しい結末とは!? 新時代のタイムリープ・ミステリ、待望の第二幕!

ええええええええぇぇぇぇぇ!?
一巻の衝撃のラストなんて衝撃でもなんでもなかった。


登場人物の紹介と状況説明がメインでなかなか物語が動かなかった第一幕は少々退屈だったのに対し、第二幕は説明が終わってここからが本番と言わんばかりにスピーディ。まさかこの巻だけで二周するとは。そして二度とも希望をへし折ってくるとは。
一周目は失敗を経てきた三人(と言っても考えるのは主に千歳先輩だが)の対策が能動的かつ効率的で、成功しそうだと思わせておいてからの無情のタイムリープ。二周目は前回の失敗理由が見つからずに焦燥感を募らせてからの、正真正銘の衝撃のラスト。
展開が早い上に衝撃の連続で、一周目の後半から翻弄されっぱなしだった。飲まれた。
ラストが衝撃だったのにはいくつか理由があるが、その一つにまだ折り返し地点なのに結構色々な事実が繋がったこともある。芹愛が自殺しようとする理由に、雛美が嘘をついていた理由に、綜士の一つの答え。次からはこれらを軸に逆転の希望の光が見えてくるのか、それともさらに絶望に突き落とされるのか。続きが待ち遠しい。
綜士視点ではこれ以上の進展は望めそうに無い今の状況とタイトル(第三幕は君と時計と雨の雛)から察するに次は雛美が主人公?