いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「弱キャラ友崎くん Lv.1」屋久ユウキ(ガガガ文庫)

弱キャラ友崎くん Lv.1 (ガガガ文庫)
弱キャラ友崎くん Lv.1 (ガガガ文庫 や 2-1)

人生はクソゲー。このありふれたフレーズは、残念ながら真実だ。日本屈指のゲーマーである俺が言うんだから間違いない。だけどそいつは、俺と同じくらいゲームを極めてなお、「人生は神ゲー」と言いきった。生まれついての強キャラ、学園のパーフェクトヒロインこと日南葵。挙句「この人生(ゲーム)のルールを教えてあげる」だって? ……普通は、そんなの信じない・だけど日南葵は、普通なんて枠にはまったく嵌まらないやつだったんだ!
第10回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。弱キャラが挑む人生攻略論ただし美少女指南つき!

根暗オタクなゲーマー少年がリア充ヒロインの助けを得て、クラス内ヒエラルキー底辺からの浮上を目指す物語。
ブコメだったりファンタジーだったりと形は違えど、根暗少年が逆転で栄光を掴んだりモテたりするのはラノベの定番中の定番。でもこれほど地道で実践的な作品は他に知らない。
それがたとえゲーム(明言されていないが恐らく格闘ゲーム)であっても、日本のトップを取れる人間が弱キャラかどうかは置いといて、努力なくして成功なしを地で行く主人公・友崎くんが実に良いキャラクター。ある程度の素直さを持ち影の努力が出来る人柄、失敗して凹んでもすぐ立ち上がる姿は自然と応援したくなる。
もう一人印象的なのがヒロインの日南。彼女自身というより彼女の教えが。
努力型パーフェクトヒロイン・日南葵によるコミュ障脱却プログラムが驚くほど論理的で現実的。それに特訓の効果が全てゲームになぞらえて例えているのでとても解りやすい。人生をゲームに例えることはよくあっても、ゲームの攻略法を対人スキルに当てはめる発想は新しい。やや強引なところがあるのはご愛嬌。
このパーフェクト攻略本(装丁も美しい)が用意できないとか、そもそもフィクションだという根本的な問題があるので、友崎くんの方法をそのまま実践することは当然不可能だが、所々に「これくらいなら頑張ろうかな」と思わせるところが出てくるのが凄い。それだけの説得力とやる気を出させる雰囲気を持っている。読んだあなたは読みながら口元を動かしたり、尻に力を入れたりしてしまうこと請け合い。
とても面白かった。ラノベを好むオタク層には下手な自己啓発本よりためになるかもしれない。