宝石商リチャード氏の謎鑑定 エメラルドは踊る (集英社オレンジ文庫)
美貌の敏腕宝石商・リチャード氏の店でバイト中の正義。氏の鑑定眼はますます冴え渡り、日々厄介な謎が持ち込まれる。本日老舗バレエ団から依頼されたのは、死んだバレリーナの呪いがかかったエメラルドのネックレスの謎鑑定。リチャード氏がエメラルドから導き出す意外な真相と石に秘められた想いとは!? 宝石に宿る人の心の謎を解き明かすジュエル・ミステリー！
2巻も変わらず宝石・鉱石薀蓄と人情味に溢れた話の数々。そして変わらず綺麗な物語だった。
お金や宝石が絡むと人間は本性を表すものだけど、そういうドロドロとしたものをほとんど感じさせない。
訪れる客の機微に触れる話なのでもちろん黒い面もなくはないけれど、リチャードの機転で最小限に抑え込んで、正義の“正義の味方”で上書きしていく感じ。正義の悩みも出てくるので、ずっとハッピーという訳にはいかないが、嫌な気分にならないで楽しく読める。
その悩みも人に良く見られたい、好きな相手（恋愛的な意味ではなく）にがっかりされたくない等の、誰でも少しは持っているもので共感しやすく、それを優しく受け止めるリチャードの包容力も合わせて、二人のやり取り読むのが最も楽しい。ところでリチャードさん。正義に餌付けされてますよ。大丈夫ですか？ｗ
ただ今回は、正義の言い間違いの表現が露骨に腐の付く方々が好きそうな言い回しになっていたのがちょっと。前巻では読書メーターの感想を見て初めてそういう読み方もあるのかと感心するくらいに薄い表現だったのに。好きな人には良いのだろうが、自分には雑味にしか感じられなかった。今回は恋愛要素＝谷本さんの出番の少なかったのも、そっちばかりが目立った要因かな。
続きがあるならゴルゴ谷本の活躍に期待。
