いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「かくりよの宿飯 四 あやかしお宿から攫われました。」友麻碧(富士見L文庫)

かくりよの宿飯 四 あやかしお宿から攫われました。 (富士見L文庫)
かくりよの宿飯 四 あやかしお宿から攫われました。 (富士見L文庫)

あやかしの棲まう“隠世”の老舗宿「天神屋」で食事処を切り盛りする女子大生の葵。
突然やって来て銀次を連れて行こうとするライバル宿「折尾屋」の旦那頭・乱丸に楯突いた結果、彼女は南の地に攫われてしまう。こそっとついてきたチビの力を借り、地下牢から脱走しようとする葵だったが、その前に乱丸はじめ「折尾屋」のあやかしたちが立ちはだかり――。
銀次と一緒に「天神屋」に帰るため、四面楚歌の状況を打破すべく葵が考えた秘策とは……ゴーヤチャンプルー!?


おい。ちゅーしろや。
おっと本音が。大旦那様の誠実ともヘタレとも言える行動に読んだ人の大半が思うんじゃないかな。
最近は葵に構ってもらうだけで嬉しい尻尾を振った犬と化していた大旦那様の凛々しい姿が久々に読めると思ったのに、逆に症状が悪化してるっていうね。一緒に台所に立って仲睦まじくしてるのはそれはそれでいいんだけどさ。
さて、ストーリーは、
本当ならライバル店折尾屋に攫われどうなる葵!?となるはずが、攫われてもやってることが一切なんにも変わってない! 流石はあの爺の娘で鋼鉄のメンタルの持ち主・葵さん。
葵が普通に馴染んでいてやっていることが料理だからあまりそう感じさせないけど、これも異世界転生もので現代の技術で無双する今流行の話なんだよね。今回あまりの葵の大活躍に改めて実感した。
嫌な奴らの見事にやり込めるのは確かに痛快。でも、どれもこれも上手くいきすぎて物足りなく感じる面も。
作中で決まった料理ばかりでは飽きると盛んに言っているのに、成功する話ばかりになってしまうのは、なろう出身作家の性なんだろうか。たまには失敗してくれないと、話にメリハリがなくなってしまう。大旦那様の付け入る隙もなくなっちゃうし。
まあ、料理の内容がメインみたいなところがあるから細かいことは気に死ね蹴ればそれまでだけど。
その料理の方は、今回も文句なしで美味しそうだった。このシリーズは出てくるのがほぼ和食で、しかも煮物をしっかり描写してくれるのが嬉しい。今度、筑前煮を骨付きで作ってみよう。
次回は「折尾屋」編後編。結局全て葵がお膳立てすることになりそう。