いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「S20-2/戦後トウキョウ退魔録」伊藤ヒロ、峰守ひろかず(ノベルゼロ)

S20‐2/戦後トウキョウ退魔録 (Novel 0)
S20‐2/戦後トウキョウ退魔録 (Novel 0)

時は昭和20年。場所は東京亀戸で。相も変わらず奇怪な事件に巻き込まれる、浮世を離れた不死の呪いと機械仕掛けの二人の話でございます。さて、今宵のお相手は、東京湾に潜む闇、月の光に紛れる者、今日も二人の往く路には、怪奇怪異の百貨店。


昭和二十年の東京を舞台にしたオカルト探偵冒険活劇、第二弾。
前回同様、お堅い元軍人な刀次と風来坊風の呆吉郎のコンビで、視点が話毎に入れ替わる短編連作形式。ただ今回は刀次が呆吉郎に毒されているのか、伊藤さんが峰守さんに感化されたのか、1巻では若干の読み難さがあった刀次視点の物語から、堅さが取れて読み易くなったのが印象的。
また、当時の事件や昭和二十年代の流行りものをモチーフにしているのも同じで、これが元ネタだという体で結ぶオチで最後にひと笑いを誘ってくるのも変わっていない。
と、やっていることは1巻と変わりがないのだけど、途中きな臭かったり血生臭かったりしても、オチを付けてくれるという安心感のおかげか1巻よりも楽しく読めた。それに、元ネタを当てる楽しみ……は冒頭や途中で大体わかってしまうのであまりなかったが、どうやってオチに持っていくかを予想する楽しみが生まれていた。
お気に入りは「菩薩=銃」。その語呂の良さと正義を気取る青年の痛々しさに苦笑しながら読んでいたのに、最後は妙に説得力のあるオチの単語に「へぇ」と納得してしまった。いやこれフィクションだから。
2巻も面白かった。エンターテイメント性の高い作品なので、色々なところでワクワクできるのが良い。