いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「英雄都市のバカども3 〜アルコ・ホール三番街の何でも屋〜」アサウラ(富士見ファンタジア文庫)

英雄都市のバカども (3) 〜アルコ・ホール三番街の何でも屋〜 (ファンタジア文庫)
英雄都市のバカども (3) ?アルコ・ホール三番街の何でも屋? (ファンタジア文庫)

英雄の末裔が住む街リキュール。血の気の多い住人が巻き起こすトラブルは厄介なものばかりだが、何でも屋のモルトたちや一騎当千の自警団がいる限り街の平和に隙は無い。たとえ、男に惚れた棒遣い男と百合拳法少女が大げんかを始めようが、極悪ギャンブラーが美女の体を狙おうが、凄腕のスリが人々の“心の宝物”を奪おうが……。
そんな騒がしくも平穏なはずの英雄都市で、陰惨な殺人事件が起きた。容疑者は――なんとモルト!? 彼の捕縛に抗った親友・ライもまた投獄されてしまった。背後で国際規模の陰謀が蠢くこの事件を、牢の中の二人は解決できるのか?


今まで匂わすだけで明言されてこなかった、モルトの過去とサシャの過去がついに明かされるシリーズ第三段。
とてつもなく阿呆な小説だった2巻とは打って変わってシリアス多めで、笑いよりも熱さと涙を重視した構成になっている。とは言っても要所要所でおバカはやってくれるのがバカどもの街・リキュール。
飯テロ描写ももちろん健在で豆が熱けりゃ話も熱い。やっぱり最高だ、このシリーズ。若者受け? 知らん。




以下各話毎



第一話『三つの依頼』
内容:おっさんと美少女がサシャを巡って大喧嘩
サシャさん魔性の男やわー。まあ、女なんだけど。
依頼料×3と乙女の唇が報酬というモルト一人勝ち状態。多分もう二度とないな。




第二話『雨の世の女』
内容:寝付けないサシャは深夜の安美亭へ
二話続けて女・サシャを強く印象付ける話。
そんなことより、芋焼酎に牡蠣の味噌ホイル焼きなんて反則だ! 俺にも寄越せ! 暴動を起こすぞ!
アサウラ作品で飯テロ描写は幾度となく読んできたけど、個人的にはこれが最高にして最凶。




第三話『Grasp』(上中下編)
内容:モルトが自警団見習いだった頃の話
モルトの過去が明かされるシリーズで最もシリアスな中編。
モルト本人の話というより、闇を抱えた少年モルトを溶かしていくライの信頼と情熱、幼いながらにその危うさを感じ取り現実に繋ぎ止めようとする幼女リッツの健気な行動に胸が熱くなったり締め付けられてりする。




第四話『勇気と冒険の記念日』
内容:凄腕スリ師
前話の反動か生粋のバカ話。
リッツはどうしても不幸(オチ担当)を背負う星の下にあるのか……不憫な。



第五話『リキュールという街』
内容:サシャ、仕事でリキュールを発つ
サシャの過去が明らかに。正直、第三話の時点でそんな気はちょっとしてた。
なんだかんだでサシャにとってモルトはおきに入り。サラシを外せばそれなりのもの。1巻のパッケージヒロイン。その上、こんな運命の出会いまで出てきてしまっては、もうリッツには勝ち目はないんじゃないか?……不憫な。


綺麗に終わった風のラストだったけど、2巻の終わりもこんな感じだったからまあ大丈夫でしょう。