いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「甘城ブリリアントパーク8」賀東招二(富士見ファンタジア文庫)

甘城ブリリアントパーク (8) (ファンタジア文庫)
甘城ブリリアントパーク (8) (ファンタジア文庫)

まもなく甘城高校の文化祭! 地上界の学生たちが繰り広げる祭典にラティファは興味津々で、西也もクラスの喫茶店のマネージャーを引き受けたりと意外にやる気満々? しかし、いすずは西也の残した意味深なメッセージが気がかりで悶々としていた。そんな折、西也から物件の内覧にと誘われる(まさか自分との同棲を考えているのでは?)――だがそんなわけもなく、訪れたのは廃墟と化した遊園地跡だった――。そこで明らかになる甘ブリの未来の姿とは!? そして、奇妙な現象に巻き込まれた西也といすずは、ふたりっきりでラブホに一泊することに!! 甘ブリは、そして彼と彼女の関係はどこへ向かう!?


前回の予告通りにシリアス回、一応。
パーク存続のための策が有効ではあっても西也本人が乗り気じゃないのでモヤモヤしている姿とか、その西也が救いのない未来を突きつけられていたりとか、重苦しい話だったのは間違いないのだが……
西也といすずがイチャコラしてたことしか印象に残ってない!
まず、どうしても目を引くのがあらすじにあるラブホの三文字。
ここは、それはもう使い古されたベッタベタなシチュエーションではあったけれど、西也も男の子だったんだと変なところで感動してしまった。ナルシストで女の子に対する興味もエロい妄想もほとんど見せない、ラブコメの主人公らしいことをやる日が来るとは。
でも、その分かりやすいシーンよりも、帰りの山中を二人でとぼとぼと歩くシーンや、バスの中でのやり取りの方がニヤニヤ度が高い。二人とも生真面目でそういうことを表に出すタイプではないので言葉はツンケンしているが、内面はお互いを必要以上に心配している姿がとても微笑ましい。いすずは前からデレていたけど、西也もここまで来たか。
いすずの可愛い姿が存分に堪能できて、少しでも彼女が報われる話が読めて満足。予想外な方向で充実感のある回だった。
このシリーズの最大の売りである着ぐるみのおっさん達の下世話トークが全然ないのが寂しいところだけど、主人公が初めてやる気を出して確かな進展もあって、ラブコメとしては最も面白い回だったかも。