いつも月夜に本と酒

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「元・竜砲騎士マデリーンの転職」佐々原史緒(ファミ通文庫)

元・竜砲騎士マデリーンの転職 (ファミ通文庫)
元・竜砲騎士マデリーンの転職 (ファミ通文庫)

育ての親ルイジアが遺したボロ宿で借金取りに追われるラザロ。そのとき突然の衝撃とともに金髪碧眼の美女、マデリーンが現れる。彼女は遥か北の王国からやってきたルイジアの姪、そして世間のことを何も知らないポンコツ美人なのだった。彼女の出現により、ルイジア亭を取り巻く悪党に目を付けられるラザロだが、彼女の真摯な性格と特殊な前職に巻き込まれ、なぜか「もてなしと愛」に満ちた宿への再建を目指すことに――? 波瀾万丈ファンタジー開幕!!


オーソドックスな西欧風ファンタジーで、育ての親が亡くなり遺された借金に苦慮するボロ宿経営の主人公の元に、戦争を終わらせた英雄(女性)が転がり込んでくる物語。その英雄のヒロイン・マデリーンが家事はおろか自分の着替えすら満足にできないレベルの生活能力皆無で、主人公のラザロはさらなる苦労を背負うことに――。
主人公が理不尽な苦労や不幸に見舞われてそれを笑う様な作品は基本的に嫌いなので、これもそれ系かと初めは身構えたが、そこは佐々原先生の見事なバランス感覚。マデリーンの誰にも愛される人柄と、ラザロの機転で笑える範囲で収まっている。
シリーズ開始の1巻とあってキャラクター紹介と舞台の紹介がメインで、酒乱マデリーンや餌食ベルタ、気がよくノリもいい島のおっさん達などキャラクター個々のエピソードで楽しめるところはあるが、物語としてはこの巻単体だとかなり地味な印象。
それでも最後には、夢の宿経営に向けての道筋が国のお偉方の説得や航路の確保など思った以上に壮大で、グッと話が広がって冒険活劇のようなワクワク感を示してくれる。
まさにこれから面白くなるところなので、是非とも続いて欲しい。
 

しかしファミ通文庫の初めのカットラインが1巻て。本当に末期だな(^^;