いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「弱キャラ友崎くん Lv.3」屋久ユウキ(ガガガ文庫)

弱キャラ友崎くん Lv.3 (ガガガ文庫)
弱キャラ友崎くん Lv.3 (ガガガ文庫)

怒濤の一学期が終わり、夏休み。薄々予想はしていたが、日南は俺に“休み”を与える気は一切ないらしい。「まあ簡単に説明するとね、優鈴と中村をくっつけようって合宿なのよ」……BBQからの川遊びからの男女お泊まり。まあ、リア充を絵に描いたようなイベントだなと思う。問題はただひとつ。そこに俺も参加するということである。なにこの圧倒的違和感。さらに菊池さんとのデートが実現、日南からは『この夏のうちに付き合うこと』を命じられ――? 俺の夏休み、どうなっちゃうの!? 弱キャラが挑む人生攻略ラブコメ第3弾!

強キャラ日南さんといくコミュ障ぼっち脱却プログラム的ラノベ第3弾。3巻はデート(予行)にデート(本番)にお泊りキャンプにその他いろいろ、友崎くん大忙しの夏休み編。



友崎文也は勇者でした。
いくら報告義務があるからと言って、風呂場での下ネタをそのまま日南に報告する? どこが弱キャラなんだか。とんだ勇者じゃないか。しかも暗に自分のそれは大きいんだぜとアピールしているという……え? 本人にそのつもりはない? 下種な大人ですみません。
まあ、そんなことより今回は菊池さん。彼女は参加しないお泊りキャンプがメインなので出番こそ少ないが、存在感は圧倒的。
思わず顔がほころんでしまう初デートの初々しさに、華々しい日南とは真逆な落ち着く空気感。言葉少なに本質を突く頭の良さも好ましい。やっぱりこの子が好きだと再確認してその可愛らしさにニヤニヤしていたら、本番は後半だった。
また腐りかけていた友崎を、助け上げてくれて勇気づけてくれて笑顔で後押しもしてくれる。自分の恋心を抑えて……。いい子すぎるだろう! 泣けてくる。
絶対この子の方が良いって。恋愛初心者の二人で思考錯誤していく、ほのぼのラブストーリーを展開していこうよ。努力を怠らない友崎くんと天使菊池さんなら、ニヤニヤしながらほんわかもする、読むと幸せになれるラブコメになること請け合いなのに。
メインヒロインの闇(というか澱というか捻じれというか)が見えて、強キャラ水沢くんの宣戦布告も済んでいて、超難関日南ルートに突入することが確定しているのが残念でならない。友崎の気持ち的にも物語の流れとしても、そうなるのが必然なのは分かってはいるけどさ。菊池さんの役割が完全にヒロインのそれじゃないし。
今回も考える主人公と溢れる青春感でとても面白かった。でも最後は菊池さんルート消滅にむせび泣きながら次回へ続く。
菊池さんに報いる為にも、強ゲーマーとしての実力とプライドを見せてくれよ。