いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?」井中だちま(富士見ファンタジア文庫)

通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか? (ファンタジア文庫)
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか? (ファンタジア文庫)

「これからお母さんと一緒にたくさん冒険しましょうね」
「あり得ないだろ……」念願のゲーム世界に転送された高校生、大好真人だが、なぜか真人を溺愛する母親の真々子も付いてきて!? ギルドでは「彼女になるかも知れない子たちなんだから」と真人の選んだ仲間をお母さん面接したり、暗い洞窟で光ったり、膝枕でモンスターを眠らせたり、全体攻撃で二回攻撃の聖剣で無双したりと息子の真人を呆れさせる大活躍!? 賢者なのに残念な美少女ワイズと、旅商人で癒し役のポータも加わり、救うのは世界の危機ではなく親子の絆。第29回ファンタジア大賞〈大賞〉受賞の新感覚母親同伴冒険コメディ!

終盤の親子愛の話になるシリアスパートは台詞に不自然さは感じるもののなかなか良かった。
それとぽち。先生の描くお母さんがとてもエロい。素晴らしい。
あとはまあ……すみません。よく分かりません。合わなかったんだろう、たぶん。


基本的には飛ばされたゲーム世界の中で、ネットゲームあるあるネタだったり、ネットやゲームでは当たり前に使う用語を知らない素人にボケさせて笑いをとったり、そういう小ネタを積み重ねていくタイプのギャグコメディ。その素人役がお母さんなので、鯖=青魚、火力=コンロなどボケが家庭的に寄っているところが特徴と言えば特徴だけど、ネタとしてはなろう辺りでは有名無名関わらず数多の人が通ってそうな道だな、と。
まあそこはただのベースだからいいとして、この作品の最大の特徴はお母さん同伴による主人公の気持ち。
授業参観の時のやり難さとか、友人や同級生に親とのやり取りを見られる気恥ずかしさだとか、ゲームなど趣味の時間に部屋の掃除にきた母へのありがたくも迷惑な何とも言えない感情だとか、親が他人に向かって頓珍漢なことを言っている時の居た堪れなさだとか。そういう言葉にし難いモヤッとした子の気持ちを全編通して表現したのがこの作品。 
……これ、面白いの?
もういいおっさんなのでそういう気分を感じなくなって久しいというのもあるのだろうけど、そういう気持ちを主人公と一緒に追体験しても特に思うところがなくて感想に困るというのが正直な感想。
現役でそういうものを感じている年代が読めば、刺さるものがあるのかもしれない。