いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌」峰守ひろかず(電撃文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌 (電撃文庫)
ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌 (電撃文庫)

鎌倉のとある高校に、豊富な蔵書を持ちながら、利用者が少なく廃止寸前の旧図書室があった。図書部に在籍する、読書すると作品世界に没頭しちゃう小動物系な卯城野こぐち。彼女はその体質から、落ち着いて読書できるのが旧図書室だけだった。そんな旧図書室とこぐちを助けるため、秘密の趣味は朗読配信と中二病な小説執筆の前河響平が立ち上がる。生徒会長に掛け合うと、旧図書室維持のため、生徒同士で書評バトルを行う「ビブリアファイト」に挑むことになり――。
お勧めの本をプレゼンするビブリアファイトでは、実在の名作を多数紹介。原作小説の栞子さんも登場する、本好き少女と恋する少年を描く、青春の1ページ。

よかった。栞子さん妖怪じゃなかった←
スピンオフといっても舞台が同じなだけで栞子さんの影がチラッと見えるくらいのものだろうと思っていたら、予想外にしっかり絡んできた栞子さんにビックリ。それだけでなく大輔や文香、常連客のあの人まで出て来て原作ファンには嬉しいかぎり。
話としては、お題の本を5分間でプレゼンしあって優劣を決めるビブリアファイトで、閉鎖寸前の旧図書室とそこの蔵書を守ろうとする高1の男女の物語。(ベースにしたというビブリオバトルをググったら本当にあって驚いた)
ビブリアファイトは原作最大の長所である「読みたくなる本の紹介」を上手にライトノベルに落とし込んだなという印象で、それ自体でも本に興味が湧くが、そこに至るまでの過程がまた良い。オタクな響平とそういう作品には縁のないこぐちさんの、同じ作品を読んだ時の感想の違いが面白い。一般人こぐちさんの感想を読んでいたら、実はラノベの方が楽しむのに知っていなきゃならないことが多くて読書初心者には読み難いのかもしれないなと、ふと思った。
また、本以外のところでは引っ込み思案な栞子さんに似たヒロイン・こぐちさんと、峰守作品特有の感情に素直な主人公・響平の相性がばっちりで、ラブコメとしても面白い。
ビブリア古書堂らしさも作者の色もしっかり出ているとても良いスピンオフだった。