いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「妹さえいればいい。7」平坂読(ガガガ文庫)

妹さえいればいい。 (7) (ガガガ文庫)
妹さえいればいい。 7 (ガガガ文庫 ひ 4-7)

ついに付き合うことになった羽島伊月と可児那由多。恋も仕事も充実して、ますますリア充真っ盛りとなる2人。そんな2人の交際をきっかけに、羽島千尋、白川京、不破春斗、それから何故か大野アシュリーの心境にも変化が訪れるのだった。千尋の前には新たなライバルが出現し、春斗は彼を慕う新人作家(巨乳)・相生初に熱いアプローチを受ける。近づいてくるクリスマスの足音。変わりゆくもの、変わらないもの。大人気青春ラブコメ群像劇、待望の第7弾! 作家や税理士や女子大生たちの、新たな物語が幕を開ける――。


コミカルな前半とシリアスな後半にくっきり分かれた7巻。
前半は付き合い始めた伊月と那由多&その周りの反応がメイン。
概ねワイワイやっているけど、どこか苦さも感じるのは失恋した人が二人いるからだろう。いつものメンバーでもバカやってる感よりも青春感の方が強かった。千尋くんはどうなんだろう。京ほど沈んでいる様子は見られないけど、意外と天然で反応が読み難い子だからなあ。とりあえずル○バに嫉妬する千尋くんとガンプラ愛を語る千尋くん可愛い。でもちょっと怖いw
いやーそれにしても、新人カップルとは思えないほど実に爽やかにやり遂げていきましたね。いざ本番となると押しの一手だった那由多がしおらしくなるパターンも予想していたけど、まんまだったわ。「させっくす!」
後半は伊月の原点にしてこの作品のタイトルにも大きく関わる作家・関ヶ原幽の話。
真ん中の人が新キャラで両脇が意外な組み合わせの表紙はこういうことか。付き合い始めなのに伊月も那由多もいない表紙に違和感大有りだったのだけど、読み終わった後に見直すとこれ以外にはないと思える表紙。そして
それ以上に切ない気持ちに。
これまでもラノベ論だったり創作物に対する考え方だったりを登場人物たちに語らせてきた作品だけど、今回のは今までで一番「痛い」話だった。
ネットによる無記名で無責任な悪意。作者の前作を思い起こさずにはいられないエピソードが生々しくて痛々しく、こんなブログをやっている自分には大変耳の痛い話で、それを身を持って示してくれてしまった幽の結末が胸に刺さる。
伊月に那由多に春斗。彼らの取り巻く環境が幽のそれに近づきつつあることに不安を覚えつつ、彼女が遺した言葉があれば大丈夫と楽観もしつつ、バカップルは爆ぜろと思いつつ次巻へ。今回で千尋のカミングアウトという爆弾の持つ意味が変わってきた様に思うのだけど、いったいいつ爆発するんだろう。