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「ロクでなし魔術講師と禁忌教典9」羊太郎(富士見ファンタジア文庫)

ロクでなし魔術講師と禁忌教典9 (ファンタジア文庫)
ロクでなし魔術講師と禁忌教典9 (ファンタジア文庫)

先の戦いから行方をくらましていた宿敵、ジャティス=ロウファン。彼の策略により、ルミアは誘拐され、さらにはフェジテ市庁舎爆破テロの容疑者として、グレンは指名手配を受けてしまい……「先生!私も先生の力になりたいんです……!」
相棒として着実に成長しつつあるシスティーナ。彼女の助力のもと、事件解決にあたるべく、グレンはフェジテの街を駆け回るのだが、直面したのは存在しえない、かつての強敵で――
街ひとつをまるごと崩壊する術式・【メギドの火】をめぐり、フェジテに集結する天の智慧研究会、宮廷魔導士団。それぞれの思惑が交錯し、フェジテ最悪の三日間の幕が開く!

ハーレイ先生が戦ってる!? あの変態教授も!? しかも強者に対して果敢に! 日常ギャグパート要員だと思ってました、ごめんなさい先生方。
そんないつもはお惚けな学園の教師たちも本気にならざるを得ない程の大事件が勃発する激動の第9巻。 
魔術学園のあるフェジテの街全体を巻き込んだ天の智慧研究会の一大作戦と、その裏でルミアを攫い何故かその作戦を邪魔するように暗躍する《正義》ジャティス。天の智慧研究会の圧倒的な戦力と、ジャティスの読めない動きに翻弄されるグレンたちの様子が描かれる。
もうここでか!という印象。これまでシリアスパートはもちろんコメディパートでもあちこちに不穏な因子を撒いてきてはいたけれど、事がこんなに早く唐突に始まるとは思ってもみなかった。しかもグレンもルミアも元の生活には戻れそうにないジョーカー的なカードを二枚同時に切ってくるなんて(あの生徒たちならしれっと受け入れそうではあるが)。教師たちの参戦も日常の崩壊を印象付けるワンシーンだった。
そんな一流の魔術師たちの土俵で、今回も最も輝いていたのが意外にもシスティーナ。魔術の面でも精神面でもこれまでの成長とこれから課題の両方を感じられるバトルシーンがとても良かった。
ここでシスティーナなのはこれがまだ「フェジテ最悪の三日間」の一日目というのもあるだろう。真打の見せ場は当然最後なのだから。
……って、これ以上があと二日間も続くのか。術式が発動しなくても学園も街も廃墟と化しそうだが。



あとがき嘘くせぇw
今回もブレずに哀れなピエロだったのに。しかも前回登場時より明らかに精神が幼児化してた。