いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「絶対城先輩の妖怪学講座 十」峰守ひろかず(メディアワークス文庫)

絶対城先輩の妖怪学講座 十 (メディアワークス文庫)
絶対城先輩の妖怪学講座 十 (メディアワークス文庫)

『白澤』に襲撃された狐からの情報を受け、警戒を強める絶対城たち。そんな中迎えた夏休み。つきあって初めての長期休みにもかかわらず、礼音は一人、牧場で短期のアルバイトに励んでいた。
優しい夫妻が営む牧場を気に入る礼音だが、いるはずのない子供の影を見てしまう。心細さを感じつつ、休日に近くの川で水浴びをしていると、そこには礼音を心配した絶対城の姿が。二人は牧場主夫妻の発言に疑いを持ち始め──?
“予言”に纏わる妖怪たちの謎に迫る第10巻!


ついに付き合い始めたお二人さんは、これまでの微妙な距離感を一気に縮めイチャイチャ……なんて出来る筈もなかった。逆に普段の距離感が掴めなくなってギクシャクするとか、ちょっと惚気る程度で言いよどむとか、付き合い始めの中高生カップルか! あ、公式認定の中学生レベルカップルだったわw まあその初々しさでニヤニヤポイントは高くなっていたから良いけどさ。まったく、表紙の人が悪そうなニヒルな笑いの青年はいったい誰なんでしょうかね。
さて、今回の本題は人に豊作や飢饉、天災や疫病などの予言をもたらしたとされる人面の怪異達「予言獣」。
そうそうこの感じ。
一見関係ない事件の数々から外堀を埋める様に五章の本命の話に繋げていく綺麗な展開。その段階を踏んだ説明で説得力は凄くあるのに、起こっていることはなかなかにぶっ飛んでいるというそのギャップ。絶対城シリーズの醍醐味の二つがしっかり詰まっていた。前巻がライトな話だったのと、ここのところこちらの刊行ペースは落ちている関係でこの感じを味わうのは随分久しぶりな気がする。やっぱりこのシリーズは面白い。
恐ろしく気になるエピローグでいやーな感じを残しつつ、次巻白澤編クライマックス。白澤は憑依系の真怪?相手が相手だけに精神的にきつい戦いになりそうだ。