いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「宝石商リチャード氏の謎鑑定 祝福のペリドット」辻村七子(集英社オレンジ文庫)

宝石商リチャード氏の謎鑑定 祝福のペリドット (集英社オレンジ文庫)
宝石商リチャード氏の謎鑑定 祝福のペリドット (オレンジ文庫)

イギリスから帰国した正義とリチャード。正義は大学三年生となり、周囲ではそろそろ就職活動が本格化し始めていた。そんなある日、銀座の「エトランジェ」を常連客の乙村が訪れた。乙村は、片想いしていた女性からもらったという桜色のカメオをリチャードと正義に見せる。そして、そのカメオの謎を解いてみないか、と言い出して……? ジュエル・ミステリー第5弾!


リチャードが帰ってきた!
日本の新宿にという意味でも正義の元へという意味でも、もちろんあるけれど、4巻のイレギュラーな内容から、日常に復帰してくれたことが嬉しい。それに4巻はちょっと“仲良し”過ぎたからこの位の距離感が丁度いい。あくまで正義側は、だけど。
前半二話は本当にいつも通り。
正義がどこかで持ち前の人の良さを発揮して厄介事を拾って来たり、お店に持ち込まれた宝石にまつわる相談事を二人で考えたり。正義が引っ掻き回してリチャードが諌め、正義が無自覚に真髄を突いてリチャードがまとめる。やっぱりいいコンビだ。これが読みたかった。
後半二話はリチャードの過去。師匠の口から語られるイギリスから逃げ出して間もないリチャードの話と、正義が偶然出会ったリチャードの幼少期の恩師の話。
リチャードさん、正義のことをとやかく言えない所業をいくつもしてるじゃないですか。過去の自分を見ているみたいで嫌だというのは分からないでもないけど。シャウル師匠の隠し玉はもっと読みたいな。
……って、あれ? 谷本さんとの約束は次回以降か! 勇気を振り絞って約束を取り付けた正義くん可哀想にw リチャード本人と二人の間柄に彼女がどういう判断を下すのか興味津々。