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「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編」武田綾乃(宝島社文庫)

響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編 (宝島社文庫)
響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編 (宝島社文庫)

新年度を迎えた北宇治高校吹奏楽部。二年生となった久美子は、一年生の指導係に任命される。低音パートに入ってきたのは、ユーフォニアム希望を含む4人。希望者がいたことにほっとする久美子だったが、低音の新入部員たちはひと筋縄ではいかないクセ者だらけだった。新しい体制となった北宇治吹部は、はたして無事コンクールを迎えることができるのか!? アニメも大人気の青春エンタメ小説、新章スタート!


響け!ユーフォニアム、待望の二年生編。
先輩になった久美子はちょっと想像できなかったけど、思った以上にちゃんと先輩してた。緑はお姉ちゃんだから予想通りしっかりしてたけど、元体育会系の葉月がお友達感覚だったのはやや意外。麗奈は、まあね……トランペットパートの描写は少ないけど、怖がられて近づかれないタイプなのが容易に想像できる。
さて、注目の新入生はなんと総勢43名。全国まで行くと新入部員が増えるのはどの部活でも同じだ。その中で低音パートに集まるのは一癖も二癖もある濃いキャラばかり。
そして当然の如く起こる問題に、巻き込まれたり首を突っ込んだりするのは我らが久美子。まあ主人公ですし。チューバの美玲と久美子と同じユーフォの奏、尖がり方はそれぞれながら中学時代の苦い経験から棘の鎧をまとった一年生二人を、一年間北宇治でやってきた経験と自信で諭す久美子の姿に確かな成長が感じられる。
そんな訳で、年度が変わって人が変わっても、部活内の人間関係で部員たちの内に秘めたもの、主にその黒い部分を曝け出させるこのシリーズらしい内容だった。でもそうして、みんなが人間臭さを見せてくれるからこそ、感情移入してしまうのだろう。オーディション結果発表の時、ある人の名前が呼ばれた時は涙腺にきた。
前編はオーディションまでで、後編は大会編。後編一冊で収まるのか不安になるくらい問題のタネが残っているけど、どうなることやら。新入生関係が少なくとも二つ、そして相変わらずな希美とみぞれの問題。
希美って自分たちの関係が「リズと青い鳥」が似てるって自分で言ってるのに、この態度なの? 自覚と無自覚の割合がどの程度か分からないけど、どっちにしろ悪女だわ。
果たしてどんな結果が待っているのか、来月が待ち遠しい。



おもな登場人物にOGが入っていたから出てくるかと思ったら、そんなことはなかった。
あすか先輩と香織先輩は何度も名前が出てくるのに、写真の時一回だけの部長ェ…