いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「恋するアクアリウム。」竹岡葉月(富士見L文庫)

恋するアクアリウム。 (富士見L文庫)
恋するアクアリウム。 (富士見L文庫)

ある事情で26歳のOL・浅見桐子が身を寄せることになった先は、美人顔の年下幼なじみ・佐倉井真也のもと。そこはアロワナの水槽が鎮座する魚マニアの部屋だった!
しかし真也は、桐子が食卓に出した「食べる魚」は苦手と物申し、桐子は好き嫌いを克服させる事に!
一緒に出かけた水族館、熱帯魚ショップ、展望台。突然始まった同居は、食卓をともに囲むたびに二人の距離を縮めていく。東京での日々を通じて、地元では知らなかった互いの一面を知り――。
アクアリウムと料理が結ぶ、年の差幼なじみの恋物語

本編随一の謎、魚小僧こと佐倉井真也にどうやって年上彼女が出来たのかを追う『おいしいベランダ』のスピンオフ作品。ある事情で地元仙台に居られなくなった真也の年上幼馴染み浅見桐子が、東京に来たところから物語が始まる。
佐倉井少年がドリカムってた!
この後、髪切るなら付き合うって言ってたら完璧だったな。そこまで行くとパクリになっちゃうか(^^;
さて、その佐倉井君、予想以上に男気はあったがそれ以上に残念だった。
根はいい奴だと知っていても、この言葉足らずで思慮不足のぶっきら棒口調では、ことある毎にケンカになりそうだ。これは、ちょっとばかりガサツでベランダが緑過ぎるだけで、他はハイスペックな亜潟さんには敵いませんわ。それこそ勝手知ったる幼馴染み彼女以外では上手く行くビジョンが見えない。
で、その幼馴染みの桐姉さんが、主婦力は高いわ、面倒見はいいわ、さっぱりした性格なのに包容力はあるわの、パーフェクトお嫁さんにしたいヒロインだったものだから、魚小僧へのヘイトが溜まる溜まるw いい人過ぎた為に、とんでもないの糞女に引っかかってしまう不幸属性なのも、むしろヒロイン力を上げている。
また、佐倉井君の残念さが際立ったことで思ったことが一つ。
この朴念仁をその気にさせ、それなりの恋愛遍歴を持つアラサーイケメンを堕としたみもりの魅力って相当なもんじゃない? 自己評価の低い本人視点と大人な亜潟視点では、ちんちくりんなお転婆娘でしかないんだけど。あの隙がいいのかね。
試練(糞女)が厳しかった分甘さは十分だし、桐姉の主婦力のおかげで本家に負けず劣らずの飯テロ力も完備で、本家と同様に楽しめた。佐倉井君はこの人を絶対幸せにしないとダメだぞ。両歳の差カップルのご対面も読んでみたいが、まもり以外全員が嫌がりそうだからないかな。