いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「NNNからの使者 あなたの猫はどこから?」矢崎存美(ハルキ文庫)

NNNからの使者 あなたの猫はどこから? (ハルキ文庫)
NNNからの使者 あなたの猫はどこから? (ハルキ文庫)

自分勝手な両親のもとで、何でもいいなりになってきた小雪はいつもひとりぼっち。家を出ることを決めかねていたある日、具合の悪そうな子猫を見つけて……(「第一話」)。猫が大好きなのに、猫アレルギーの自分を恨めしく思っていた瀬奈のもとに訪れた幸運とは?(「第三話」)。猫を飼いたい誰かのことを、ねこねこネットワークの使者が、今日もどこかから見ているかも!? 猫好きの人にぜひ読んでほしい、モフモフ猫小説第二作!

NNNからの使者、第二弾。
少し社会派の入った人情味溢れる短編連作で、猫と新たな飼い主との出会いを描く物語なのは前回と同様。ただ今回は、これまで猫が好きなのに様々に理由で猫が飼えなかった人たちが、猫を飼うことになるまでの話に絞って五編綴られている。また、前回のラストで微妙だったミケさんの神秘性も復活している。
主人公の親がクズ過ぎて猫飼うどうこうのレベルじゃなくなってしまっている第一話は、苦虫を噛みつぶしたような顔になっていたと思うけど、第二話以降はニマニマしながら読めた。
猫が絡むと人間までなんだかかわいく見えてくるのが不思議。
それが顕著なのが第二話。それまで特に交流はなかったのに、一匹の捨て子猫が中心になってアパート全体に輪が広がっていく話は、今回随一のほっこり感。
もちろん猫もかわいい。
一押しはスフィンクスのルビー(第三話)。猫視点がある話だと感情移入の度合いが違うのかも。第五話みたいに図太い三毛猫(ミケさんではない)より、猫大好きチワワの黒豆くんの方がかわいいという例外もあったけど。
ネコスキー猫飼えない勢としては大変羨ましさの積る一冊でした。