いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「レッドスワンの飛翔 赤羽高校サッカー部」綾崎隼(メディアワークス文庫)

レッドスワンの飛翔 赤羽高校サッカー部 (メディアワークス文庫)

高校三年生になった高槻優雅は一時的にコーチの任から外れ、二年振りの公式戦復活を目指していた。だが、その道のりは決して順風満帆なものとはならない。現実に打ちのめされる優雅を見守りながら、舞原世怜奈はチームに個性豊かな新一年生を加え、インターハイ出場を目指して新戦術を浸透させていく。しかし、その先に待ち受けていたのは、想像出来るはずもなかったチーム最大の危機だった……。レッドスワンサーガ、新生と飛翔の第四幕!

レッドスワンサーガ、第二部開幕!
優雅たちは三年生になり、新入生は沢山入部し、新たなレッドスワンの旅路が始まる。
基本的には、新加入の一年生を軸にした青春部活ものが軸。
ユース出身で王様気取りの問題児・大地が部に不協和音を生み、無口で何を考えているか分からない謙心も何やら爆弾を抱えていそう。もう一人の期待の一年・紫苑は、何故か優雅の食生活を改善していた……。
ハイライトは謙心が案の定爆発したシーン。怒声飛び交うロッカールームというだけでも、熱い部活もの感が出ているのに、そこに恋愛を絡めて強く青春を感じさせてくれる辺りが流石は恋愛小説家。大好きなシーンだ。
但し、ついに光り輝いたあいつがそれら全て前座にしていってしまったのだけど。
実時間ではほんの数秒、小説のページ数でもたった3ページのシュートシーン。
ピッチに立つというだけの本人と仲間のささやかな願いがやっと叶った安堵、ここまで来る為の本人と周りの努力、焦らしに焦らされてきた期待、トラップからの流れが脳内映像が浮かぶ美しい描写、色々なものが入り混じって本当に高揚する3ページだった。高槻優雅は本当に正真正銘のファンタジスタなのだと実感することが出来た。それに、ここまでずっと追ってきたからこそ味わえる感動だったと思う。
意外だったのは、(売れなかったら終わりなので)もっと区切りのいい感じで終わるのかと思っていたのに、想像以上に途中だったこと。恋愛はまだスタートラインに立てず、インターハイはこれから。そしてなにより、ずっと支えて来てくれた親友・伊織とも、目の仇にするほど優雅を認めていて優雅が大好きな楓とも同じピッチに立っていない。
完全体レッドスワンが拝めるその瞬間まで続いてください、お願いします!(要約:売れろ!)