いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌2」峰守ひろかず(電撃文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌2 (電撃文庫)

旧図書室を護るため、生徒会長の旭山扉から課されたビブリアファイトを戦い抜いた響平とこぐち。なんとか部室の廃止は免れ、二人も新学年へと進級した。
新部員の戸成早紀も加わり、ますますビブリアファイトへの熱も高まるかと思いきや、ちょっとだけ増えた旧図書室の利用者の相手をしたり、響平はこぐちに想いを伝えられずモヤモヤしたりと相変わらずの日々。しかし、思いがけず市立図書館で小学生に本の紹介をすることになった一行は、そこで出会った聖桜女学園のお嬢様、天塚のどかとビブリアファイト三番勝負をすることになり──。
実在の名作も多数登場する、本好き少女と恋する少年を描く、青春の1ページ。

1巻はビブリアファイトという名のビブリオバトルで、作者の好きな作品に対する熱を感じることが多い作品だったのに対し、2巻はラブコメに全力投球という印象。今回のビブリアファイトは、ラブコメを盛り上げるための便利な舞台装置の側面が大きかったように思う。
新キャラからして、ラブコメへの本気度がうかがえる。響平とこぐちさんの草食系二人では停滞しがちな空気を動かす引っ掻き回し役の後輩・早紀に加えて、男女共に恋のライバルが登場して、進まない二人の恋路を盛り立てる。嫉妬するこぐちさん、むきになるこぐちさん、思わぬ告白に赤面するこぐちさん……文学少女が見せる意外な一面がどれも大変可愛らしく、それだけホクホク。その代償?として一人可哀想な子が居たが。二人の大事な友人ポディションに収まり、本人としても貴重なオタ仲間を得たお嬢様・天塚さんはまだしも、本気で当て馬でしかなかった千倉くんが不憫で泣ける。
また、スピンオフ作品としては1巻に引き続き、本家キャラがしっかり物語に関わってくるのが良いところ。
原作では正しく妹キャラな文香がちゃんと先輩しているのも、おどおどと狂気のイメージがある栞子さんが頼れるお姉さんとして映っているのも新鮮。それに、ラストで付き合い始めてからの大輔との仲睦まじさを第三者視点で感じさせてもらえたのは、原作ファンには何よりのご褒美。
綺麗に終わっている風だけど、1巻もそんな感じだったから、気長に待てば続きがあるかも?