いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろ ―弾丸魔法とゴースト・プログラム―」上川景(富士見ファンタジア文庫)

機甲車が這い、弾丸魔法が降る、東国と西国の百年に及ぶ戦争。追い詰められた東の少年兵レイン・ランツは、見慣れぬ弾丸を放ち、敵将校を殺害する。――刹那、世界が一変した。戦場は通い慣れた士官学校へ切り替わり、死んだはずの級友の姿も。戸惑うレインに、弾丸を作ったという少女エアは告げる。「撃った相手を最初からいなかった世界へ再編成する“悪魔の弾丸”。このまま使いたい?」終わりなき戦場を前に、レインの決断は――「終わらせる。変えてやる。この弾丸で、全てを」世界の理を撃ち抜く、少年と少女の戦いが始まる――。
第31回ファンタジア大賞〈大賞〉受賞のミリタリックファンタジー


戦争が長年続く死の臭いが濃いハードな世界観で繰り広げられる世界改変SF。撃った相手の存在そのものを消してしまう弾丸に、作中の御伽噺をモチーフにした亡霊の存在と主人公の異能の秘密が絡む濃厚なストーリー。それでいて士官学校の生活風景は学園ものらしい軽さもある。それら多くの要素が破綻することなく一つに纏められている、とんでもない力作。どこをとっても水準以上なのは間違いない文句なしの大賞作品。
……だとは思うのだけど、どうにもノリきれなかった。入り込めなかった。
うーん、なんでだろう。
オチが「ヤンデレ怖い」だったのにやや拍子抜けところはあるが、そこに至る前に「何かが合わない」と思いながら読んでいたので関係ないだろう。
文章のテンポが少し悪い(特にアクションシーンは苦手そう)という点と、破綻はしていないけど詰め込みには違いないので、どこに焦点を合わせて読めばいいのか解りづらかった点。二点を合わせて、少々の読み難さはあった。でもそこまで気になるほどでもなかったと思う。
やっぱりあらすじの時点で好きな要素しかなくて楽しみにしていた分、期待値を上げすぎてしまったのが原因かなあ。
大好物のミリタリーSFでも合わないものはある、という当たり前の結論しか出なかった。こんな感想で申し訳ない。