いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「太陽のシズク ~大好きな君との最低で最高の12ヵ月~」三田千恵(新潮文庫nex)

死に至る「宝石病」を患う理奈は海の見える高校に転校してきた。不安と焦燥を抱えながらも、残された時間で「素晴らしい青春」を送らなければと頑張る彼女は、運命の恋人と無二の親友と出会う。一緒に過ごした最後の12ヶ月は、大切なことに気付いたかけがえのない日々だった……そして結末、秘密がすべて明かされるとき、物語は究極のハッピーエンドへ。2度読み必至の泣ける恋愛小説。


宝石病という死に至る心臓病を患った高3女子が懸命に生きた最期の一年を、彼女自身と彼氏になった少年の2つの視点で語られる物語。


!!?
2度読み必至ってそういうことか! このオチは完全に予想外。やられた。
本人・理奈の視点でも彼氏・翔太の視点でも、恋に恋しているような状況にしては、自分語りがメインで二人でいるシーンが少ないなあとは思っていたが。
ただ、これがハッピーエンドかと言われると、、、
どうしても男の子目線で読んでしまうというのもあって、出会ってから翌年1月までの理奈の振る舞いは翔太には酷だと思うし、これがハッピーエンドだとは到底思えない。どんなに美談でも、想い合う若者の死別は悲劇だと思うんだ。特に残される方にとっては。
「やられた」感を味わえたのが気持ちよかった。でも、泣ける恋愛小説を自称していて泣けなかったので、物足りなく感じる面も。それでも、読み終わった直後に浮かんだ言葉が「翔太頑張れ!」という、残された彼への応援だったので、素直に感動できる等身大の物語だったのは確か。