いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。4」しめさば(角川スニーカー文庫)

家出JK・沙優とサラリーマンの吉田、2人の同居生活は沙優の兄・一颯が訪ねてきたことで突然終わりを迎えることに。家に連れ戻されるまでに与えられた猶予は、たった1週間。吉田が自分にそうしてくれたように、自分自身としっかり向き合いたい。
イムリミットを前にして、沙優はゆっくりと口を開いた。
「聞いてほしい。私の……今までのこと」
学校のこと、友達のこと、家族のこと。沙優が何故家出をして、こんな遠く離れた街までやってきたのか。そして吉田と暮らした日々で、彼女が得たものとは――。サラリーマンと女子高生の同居ラブコメディ、急展開の第4巻。


沙優の兄に見つかり、ついに吉田さんがお縄に?な4巻。
……嘘です。ごめんなさい。ボケられるところがここくらいしかないくらいの全編シリアス回。沙優が自分の口で家出の原因を語る重要な物語。
明かされた真実は、、、予想以上にヘヴィだった。
学校内の友好関係 家庭の状況、親との関係。一つ一つは予想の範囲を超えるものではなかったけれど、それが複雑に絡み合って相乗効果で沙優に襲い掛かっている感じ。彼女がどんなに追い詰められた家出をしたのか、逃避行の果てに吉田と出会ったのがどれだけ幸運だったのかを、強く印象付ける話になっていた。
その後、重点的に書かれるのは当然、別れの日が近づいて悩む二人の様子。
沙優も吉田も生きることにとことん真面目だな、と。その真摯な姿勢が好ましいと思う反面、危うさも感じてしまう。
楽な方に流されていく生き方は自分を駄目にするという考えはよくわかる。でも、自分の欲求を律し続ける生き方も、それはそれで人間らしくないと思うんだ。我慢しすぎるとは人は壊れるぞ。なんて悟れる(諦める?)ようになるにはまだまだ若いよな。などと思うおっさんであった。
次回、二人で“決戦の地”へ。
吉田さんは次こそ男を見せてくれるんだろうか。何せ、いつも考えすぎで傍目にはうじうじしているように思えてしまうので。 
みんなが笑顔になれる決着だといいな。