いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「小悪魔だけど恋愛音痴なセンパイが今日も可愛い1」遊歩新夢(オーバーラップ文庫)

「ひとり暮らし、だよね? 今日ね、ご飯作りに行こうと思うの」
高校入学を機に吹奏楽部へ入部した三鼓拓斗。 名門校の吹奏楽部で唯一の初心者である拓斗を教えてくれることになったのは、OBの女子大生・宮城恵理那だった。歓迎として拓斗のために演奏をする恵理那の音色はとても艶やかで――
「先輩(の演奏)に惚れました! 」「ほ、惚れたって、わ、私でいいのかな!?」
告白だと勘違いした恵理那は、バニー服で出迎えたり、スク水エプロンで料理を作ったり――!? 圧倒的な音楽の才能を誇る先輩は極度の“恋愛音痴”だった! 勘違いから始まる世話焼き先輩JDとのイチャラブコメディ、開幕!


本職の音楽家でもある遊歩新夢先生の新作はもちろん音楽ラノベ
田舎の中学で廃部していた吹奏楽部の楽器を弄っていただけで正式な指導は一切受けていない主人公が、一念発起して吹奏楽の強豪高校に入学する物語。
作者のデビュー作『きんいろカルテット!』と同じ学園が舞台で、同作から8年後の高等部の話。当時中等部三年生だった二人と摩周先生が外部指導者として登場する。今回絡むのは由真だけだが。由真さん、まだ彼氏いないんすね、やっぱり……w

変な言い方だが、思いの外ラブコメだった。
音楽初心者が誰かと一緒に奏でることの楽しさ、本番の高揚感と怖さ。そういうものを一つ一つ新鮮な感動と共に知っていく要素もあるが、出て来るのはかなり後半で、音楽がメインでラブコメは味付け程度だった作者の過去作と大分印象が違う。
ブコメとしてのタイプは、恋愛音痴のポンコツお姉さんが色々やらかすドタバタラブコメ
彼女の行動だけだとちょっとやり過ぎのきらいはあるが、女系家族である程度女性慣れしている主人公が余裕をもって受け止めるので、コメディとして楽しめる。
ラブの方はまだ気配だけといったところ。話の中で時々出て来る集団の中で突出してしまう天才の苦悩の話が、もう一人のヒロインを加えた三人の恋愛模様にどう絡んでくるのかが今後の見どころ。
個人的にはもっと音楽に寄って欲しかったところだが、キャラクターは誠実で好感が持てて、そんな彼らの成長が感じられ、おまけに『きんいろカルテット!』その後を垣間見ることが出来て面白かった。
主人公は音楽の楽しさを知り始めたところで、ヒロインたちの恋心も始まったばかり。ナンバリングもされてるし、ちゃんと続きますよね? というか、今度こそ続いてくれ!