いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ママ友と育てるラブコメ2」緒二葉(ガガガ文庫)

幼稚園では、保護者参加型の行事が定期的に行われる。親子遠足もその一つだ。両親の代わりにそれぞれ参加した響汰、澄は、子供たちとともに楽しいひとときを過ごす。一見喜んでいるように見える想夜歌だが、響汰は知っていた。大好きな母親と一緒に参加出来ず、とても寂しがっていることを。そんななか、間近に迫った想夜歌のお誕生日会。響汰は母親に参加するよう声を掛けるも、「仕事があるから」と一蹴されてしまう。想夜歌のために、何か出来ないかと悩む響汰。澄にも背中を押され、ある一手を打つ。子育てラブコメ第二弾!


家庭の事情で高校生ながらに歳の離れた妹・弟の親代わりをしている響太と澄。高校生なのにママ友な二人のラブコメ第二弾。
シスコン、ブラコンなんて言葉では生温い、妹ガチ勢と弟ガチ勢の熱いつばぜり合いが繰り広げられ、コメディ色が濃かった第1巻から一転、高校生の二人が親代わりをしていることの問題点が浮き彫りになる第2巻。
想夜歌ちゃん、いい子過ぎやしないかい(´;ω;`) おっちゃん涙腺が弱くなっているから、幼児の涙に弱くてね。中でも小さい子が寂しくてじわっとなく姿は堪りませんわ。
それでなくても今回は、切なくなる遣る瀬無くなることばかりで、メインの高校生二人の境遇だけでも泣けてくるのに。
双方の母親が登場し、それぞれの家族の問題が明るみになった今回。ワーカホリックでネグレクト気味の昏本母、夫の事故死から立ち直り切れない暁山母と、代わりに子育てするだけでなく精神的にも頼れない母親たち。その上、周囲からの奇異の目まで。遊びたい盛りの年代で自分の時間を犠牲にしているのに、こんな中でグレずに誠実で真っ直ぐな響太と澄の存在が尊く思える。誰か周りに褒めてくれる大人はいないのか。
最後は歪ながらも確かな家族愛が感じられるいい話になっていたのが小さな救いか。ただ、昏本母に関するモヤモヤが強くて素直に感動できないところが。自分の毒親への怒りと二の舞になる恐怖は理解できるけど、なら一人目はともかくなんで二人目産んだんだ?と激しく問い詰めたいところだ。
そんなわけで1巻以上にラブコメの枠からは離れた気がするが、前はほぼ無かったラブの気配はしてきた。
妹を育てるために一人気を張ってきた響太は澄にだけは愚痴を吐き弱みを見せるようになり、澄はクラスメイトの柊が響太にちょっかいを掛けるとヤキモチを妬くようになった。二人とも素直じゃないので中々伸展しそうにないが、妹と弟のアシストは期待できそうなので、次回こそラブコメっぽい展開になることを期待したい。