いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「負けヒロインが多すぎる!5」雨森たきび(ガガガ文庫)

迫るバレンタインデー。佳樹が手作りチョコを贈るのはーーまさかの兄以外!? そんな、佳樹にかぎって……。動揺する俺に、文芸部の連中は冷たい。「妹ちゃん、好きな人でもできたんでしょ」「お、男だな」……こいつら、コトの重大さが分かっていないな。佳樹はまだ中二なのだ。本命チョコなんて早すぎる。焼塩の案で、桃園中学に潜入調査することになるがーーえ、俺、中学生に変装するの? こんなところ佳樹に見つかったら……いや、普通に喜びそうだな……。大人気負け確ラブコメ第5弾。ブラコン妹×シスコン兄の明日はどっちだ!?


バレンタインに学校見学会が重なり、甘い匂い漂う日曜の高校に中学生が押し寄せる5巻。もちろん妹・佳樹も来ます!
ブコメの定番イベントバレンタインデー。でも、残念ヒロインを揃える本作のバレンタインは一味違う。……違うことは違うんだけど、ズレ方が斜め下だった。妹ちゃんがブラコンが極まったやべー娘なのは分かっていたが、温水くんもここまでシスコンが極まったやべー奴だったとは。
妹に男の影が?という疑惑だけで何も手につかなくなり、周りに意見を聞きまくり、負けイン達に呆れられる主人公って。これまで培ってきた、友達がいのあるいい奴な主人公像が一瞬で消え去るインパクト。まあ、これもある意味ラノベブコメの主人公らしくはあるのだけど。今回一応勝ち組に入るだろう八奈見さんと小鞠さん、本当にこいつでいいのか?
妹の方も負けてはいない(負けて欲しかったけど)。文芸部に寄稿した短編一本で読者の度肝を抜いてくる。このどこか影を落とすインモラルでアブノーマルな文芸作品を中学生が書いたのか……闇が深い。
あと、やべー奴だったのがもう一人、朝雲千早嬢。ハイテク機器を使いこなしつつ、度胸の据わった強力なストーキング能力を見せつける。なんでこの子の恋は成就しちゃったんだろう。これを綾野くんにバラせば檸檬に逆転の目もあるのでは。檸檬本人が本作で一番いい子だから絶対にしないだろうけど。
いつもと違って負けヒロインは居なかったけれど、残念さはいつも通りな話だった。これはこれで面白かったが、主人公が頑張り青春が感じられるいつもの感じの方が好きかな。
ちなみに我らがカロリークイーン八奈見さんは案の定チョコレートを食いまくっておられた。次回顔がニキビだらけになってたりしない?大丈夫?