いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクル episodeリュー2」大森藤ノ(GA文庫)

それは神の眷族が紡ぐ歴史の欠片――。
「会いに行きます……アストレア様」
迷宮都市がヘスティアvsフレイヤの『戦争遊戯』の準備に沸く中、リューはひとり、都市を発った。
向かうは遥か東、剣製都市。
その地で待つ女神に会うため、力を求めるため、そして自らの時計を前に進めるため、五年分の決意を秘めて再会に臨むリューだったが――
「貴方のこと、絶対認めないんだから!!」
正義の女神を慕う『後輩』達と衝突してしまう。更にアストレアにも帰還を許されず、剣製都市への滞在を言い渡され……。
「リュー、貴方の答えを聞かせて?」
今一度、正義を試されるクロニクル・シリーズ第三弾!


フレイヤ・ファミリアとの『戦争遊戯』で絶望的な状況の中、格段にレベルアップした姿で颯爽と駆け付け状況を打開する、完全無欠の主役ムーブをぶちかました堅物エルフ『疾風』リュー・リオン。彼女が如何にしてレベルアップし新たな武器を携えてあの場に現れたのか、本編18巻の裏側が語られる、ダンまちスピンオフepisodeリュー第2弾。
腐った自分を救ってくれた大恩人シルのため、愛する人(←こう書くと本人に怒られそうw)ベルのため、避け続けたきた過去と主神と向き合うことを決め、向かった鍛冶の街・剣製都市。そこで出会った変わらぬ主神と初めて会う後輩たちとの交流 リューの葛藤と成長を描く物語。

久しぶりの再会で最愛の主神アストレアの前でも見せてしまう融通の利かない頑固さに、初めて会うファミリアの後輩たちへの接し方のぎこちなさ。ここのところリューさんは、恋する乙女な色ボケエルフ姿がばかりが目立っていたので、久々に生真面目すぎる堅物エルフ姿を発揮しているのが懐かしい。
それでも一度懐に入ってしまえば、助けることに犠牲をいとわない、絶対に諦めない諦めさせない、いつもの情の厚さと情熱を発揮。慣れない先輩面までして、自分の正義を伝え相手の正義を問う姿が凛々しく、格好いい。やっぱりリューさんがNo.1!……そういえば最近のダンまちはメインキャラが教師役することが多いな。
あと目立つのがアストレア様。予想通りの包容力と予想外のスパルタ指導。
やっぱり地上に降りてくる神々は変な人一筋縄ではいかない神ばかりなんだろうな。88ページの挿絵は至高。
最後にもう一つ。
同シリーズのスピンオフ『アストレア・レコード』を読んでから読むべき作品だということ。読んでいるといないとでは終盤に授かる魔法の感動の度合いが段違い。